両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成31年4月17日、日経新聞

子の連れ戻し迅速化/親不在でも可能に ハーグ条約対応、法案が衆院通過 居場所特定なお課題

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国際結婚の破綻で一方の親が母国に連れ帰った子供を元の国に迅速に連れ戻せるようにする民事執行法改正案が16日の衆院本会議で全会一致で可決、参院に送付された。今国会成立は確実な情勢だ。子供の所在地がわからなくなっている場合、どのように特定するかなどの課題も残る。

子供を連れ戻すルールは、日本が2014年に加盟したハーグ条約に「強制執行」の手続きが定められている。強制執行は裁判所が引き渡しを命じた場合、家庭裁判所の執行官が代わりに子を保護する仕組みだ。
今回の改正案はこの手続きを迅速にする。引き渡しに応じない親に制裁金などを科して促しても応じないとみられる場合、一定期間を待たずに連れ戻しを認める。
保護する際、引き渡しを命じられた親が立ち会わなくても、申し立てた親がいればできるようにする規定もつくる。
制裁金などを科す「間接強制」の手続きを経なくても強制執行できるようになることから、子供を連れ戻す手続きの実効性は高まるといえる。
ハーグ条約への対応をめぐっては、米国務省が昨年5月に日本を「効果的な執行策がとられていない」とし、同条約の「不履行国」と認定していた。
課題は残る。その一つが子供の所在が特定できない場合への対応だ。連れ戻すのは容易ではない。国際離婚などが専門の本田正幸弁護士は「(今回の法改正は)子の所在が特定されていることが前提になっている」と指摘する。英国など欧米では捜査機関と連携している例もあるという。「制度のさらなる整備が必要不可欠だ」と語る。
子供の心身への配慮も欠かせない。衆院法務委員会での法案審議で、法務省は児童心理専門家が執行補助者として保護する場に立ち会えるとの見解を示した。
家族法が専門の早稲田大の棚村政行教授は「子の返還が実現しないケースが残れば再び米国に指摘されるだろう」と話す。
改正案は成立から1年以内に施行される。詳細な運用ルールにあたる最高裁判所規則を定める手続きも必要になる。

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