寄稿Season12⑥
Season 12 ⑥家裁がパンク?
「離婚後共同親権」に関する記事を載せることに及び腰だった中日新聞も、最近は積極的に掲載するようになりました。3月9日付朝刊は、民法改正案の閣議決定のニュースを1面に、大型の関連記事を2面に掲載しました。
2面の見出しは「家裁人手不足 パンク懸念」。関東地方で小学生の子どもを育てる30代の女性の声は以下の通りです。
-子どもと一緒に別居し、家裁に離婚調停を申し立てたのは約7年前だが、今も離婚できていない。
(中略)
「DVへの理解も乏しく、個々の家庭の事情も見てくれない。ただ事件を『こなす』だけだ」。家裁に不信感を抱く女性はこう語る。「共同親権が導入されたら家裁に行く人はもっと増える。私のようにつらい思いをする人が増えるのが目に見える」
-日弁連の分析では調査官は23年度に約1600人で、この20年ほどで数十人の増員のみ。家裁関係者は「都市部では調査官不足で調停期日の間隔が空き、その間に紛争がこじれる悪循環が起きている」と明かす。
このように家裁の人手不足を指摘し、離婚問題に詳しい弁護士の声として「家裁の裁判官・調査官の育成には数年単位が必要で、体制拡充は簡単でない」と解説しています。
コリンP.A.ジョーンズさんの著書「子どもの連れ去り問題~日本の司法が親子を引き裂く」(平凡社、2011年3月15日初版発行)はよく知られています。この中に「親子の運命を決める家庭裁判所」という章があり、「家裁の人々」と題して裁判官、調停委員、調査官にそれぞれ触れています。
裁判官については、こんな記述があります。
「日本の裁判官は多忙であり、既存の事件と毎日新規で入ってくる事件の対応で追われている。(中略)当該親子一人一人の事情を把握して、それぞれに即した解決策を考える余裕があるかは疑問である」
(気弱なジャーナリスト・Masa)
更新 2024-04-17 (水) 06:54:27
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