両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和6年1月8日、産経新聞

転機迎える家族法制 「未来の子供に幸せな制度を」当事者の思い

 離婚後の子育てのあり方を検討している法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会の議論が大詰めを迎えている。昨年12月には離婚後に父母双方に親権を認める「共同親権」を原則とする要綱案の試案が示され、今年初めにも部会が要綱案をまとめる。政府は早ければ1月下旬に招集予定の通常国会に民法改正案を提出する見通しで、今年は家族に関する法律が大きく変わる転換点となりそうだ。

▪️ 親から子を中心に

 「親を中心にしてきた旧来の民法を子供を中心とした民法に見直す」。法務省関係者は今回の議論のポイントについてそう話す。
 現行の民法の規定は子供の身の回りの世話や財産を管理する権利を指す「親権」について、子供は父母の親権に「服する」と父母を主体に記述してきたが、試案では親権は「子の利益のために行使しなければならない」と修正した。

議論の最大の焦点となってきた共同親権については、父母の合意で導入が可能に。裁判所に判断を委ねる場合は原則、共同親権とし、ドメスティックバイオレンス(DV)など子供に害がある場合は単独親権とするようにした。

 子供の養育に欠かせない環境整備も進む。これまで支払われないことが多かった養育費について、ほかの債権者よりも優先して支払わせる仕組みを導入。別居している親と子供との面会交流の実施を家庭裁判所が促せる制度を設ける方向だ。

▪️ 月1回、1時間のみの「面会」

子供中心の家族制度は、離婚後の子育てをどう変えるか。
「未来の子供たちが幸せになれる制度になってほしい」と願うのは、妻と長女と別居する警察官の40代男性だ。
ある日、仕事を終えて自宅に戻ると、妻と生後間もない長女はいなかった。中は真っ暗で電灯も点かず、洗濯機や冷蔵庫、カーテンまでなくなっていた。

電話に出ない妻から連絡が来たのは翌朝。生活費の振り込みを求めるとともに、今後は弁護士を通じて連絡するよう伝えるものだった。
その後、子供の養育を巡る家庭裁判所での審判が始まり、娘が父親と会えるのは妻が指定した場所で月1回、1時間のみとされた。
男性は「母親と去った後、娘とはほとんど会えていない。同居するかしないかで過ごせる時間になぜここまで差をつけるのか」と話し、離婚後も双方が養育に関われる制度となるよう期待する。

▪️ 娘から「嘘つき」

同じ願いは、埼玉県の経営コンサルタント、花村憲太郎さん(46)も持っている。
元妻は数年前、生後間もない長女を連れて突然、家を出ていった。
その後始まった週1回の離婚協議のたびに長女と会う機会があり、協議の中でも「週1回の長女との面会交流」を条件とすることで合意。だが離婚が成立すると、約束はほごにされた。
その後、家庭裁判所は花村さんと長女との関係を踏まえて、週1回以上の交流を続けるよう審判を下したが、元妻側が「子供が嫌がっている」などといって実現せず、今年4月末に面会してからは1度も会えていないという。

離婚前、「ずっとお父さんと一緒にいたい」と言うこともあったという長女。だが、離婚後は「病気をうつした」「噓つき」などと攻撃的な言動をされることも増えた。花村さんは「充実した交流ができる環境があれば、拒絶を防げたかもしれない」と思う。
「子供たちにとって、少しでもいい世の中になれば」。花村さんは、親子間で特に問題のない場合は離婚後も親子が自由に会える時代が来ることを願っている。(宮野佳幸)

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