両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和2年1月21日、Yahoo!ニュース

日本のシステムはクレイジー」海外メディア 我が子の安否確認に行き有罪 豪男性はもう1人のゴーンか?

飯塚真紀子(在米ジャーナリスト)

 日本の司法制度の問題が世界に露呈されてしまったカルロス・ゴーン氏の逃亡劇。
 ゴーン氏は会見で、日本の司法制度を痛烈に批判し、自分は日本の司法制度の犠牲者だと主張したが、同様の思いを抱いているのは同氏だけではないようだ。
 オーストラリアのSBSネットワークの元スポーツ・ジャーナリスト、スコット・マッキンタイヤ氏もまた、日本の司法制度の問題を訴え、同氏の声は米紙ニューヨーク・タイムズや英BBCニュースなど欧米のメディアで報じられた。

我が子の無事を確認に行ったら、不法侵入に
 マッキンタイヤ氏は、昨年10月末、大型の台風19号が東京を襲った後、妻に連れ去られたという子供たち(11歳の娘と7歳の息子)の無事を確認に、子供たちが住むアパートの共有エリアに入った。しかし、それから約1ヶ月経った昨年11月28日、不法侵入の容疑で逮捕され、44日間拘留されてしまったのだ。
 1月10日、マッキンタイヤ氏は保釈金を払って釈放された。1月15日に東京地裁で行われた裁判で、検察側は同氏が娘に暴力をふるったと主張したが、同氏はそれを否定。結局、同氏には懲役6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。
 裁判所から出てきた同氏は、共同親権制度がない日本の問題を強く訴えた。
「子供たちにはもう250日間会えていない。何の説明もなく、妻に“誘拐”された。家庭裁判所は親による子供の連れ去りを調査しようとしない。僕の場合、警察に何度も行き、調査するように頼んだが、警察は何もしなかった。日本の親権法は子供の“誘拐”を助長している。連れ去られたのは日本に共同親権制度がないからだ。共同親権は基本的人権だ。僕は、子供が連れ去られたフランスやイタリア、ドイツアメリカ、カナダ、アジア、アフリカなどの国々の親たちのために立ち上がっている。何より、日本の親たちのために立ち上がっている。日本は文明社会の一員となって、共同親権制度を導入してほしい」
 なぜ、同氏が不法侵入から1ヶ月以上も経ってから逮捕され、長期間拘留されたのかは不明だ。また、最初に同氏が保釈金による釈放を求めた時は、証拠隠滅や国外逃亡の恐れがあるという理由で、釈放が認められなかったという。
 この事件について、米紙ワシントン・ポストは「日本、子供たちに会おうとしたオーストラリア人を有罪に」というタイトルで、US News and World Reportは「オーストラリア人男性、日本で、子供を探すために侵入、逮捕された後、釈放される」というタイトルで、日本の司法制度や共同親権制度がない問題を報じている。
 マッキンタイヤ氏は昨年5月まで妻や子供たちと一緒に暮らしていた。しかし、妻が両親と一緒に住みたいという理由で子供たちを連れ去り、それ以来、妻とコンタクトが取れず、子供たちに会うことができない状況だ。警察や妻の弁護士(同氏と妻は離婚調停中だった)に子供たちの無事を教えてほしいとリクエストしたが、拒否されてしまったという。
 同氏は拘留中の体験をこう語っている。
「24時間、灯りがつけられた。弁護士が同席することなく、尋問された」
 これは、ゴーン氏が記者会見でした主張と重なる。

日本の司法制度はクレイジー
 このマッキンタイヤ氏の逮捕・拘留について、オーストラリアのABCニュースは「日本の司法制度はクレイジーだ」と非難する同氏の両親のコメントを伝えた。
「第一、アパートに入っただけで拘留されるなんて信じられません。オーストラリアなら、これは軽犯罪で、100ドル払えば釈放されます。日本では、事情を説明する機会さえ与えられず、何ヶ月も拘留されます。クレイジーなシステムです」
 また、同ニュースは「先進国とは違い、日本には共同親権制度(離婚後も父母の両方が親権を持つ権利)がなく、裁判所が命じた面会権(離婚した親が、他方の親の元にいる子どもに会う権利)はしばしば無視され、それにより処罰を受けることもない」と司法制度における日本の後進国ぶりを批判している。

安倍首相に問題提起
 片方の親が、もう片方の親の同意なく、子供を連れ去った場合、国際的にそれは“誘拐”あるいは“拉致”と見なされる。日本にはそのようなケースが多数あり、子供を連れ去られた親の方は子供に会えない状況となる。昨年11月には、子どもの養育に関われなくなった親たちが、単独親権制度は違憲であるとして、国家賠償訴訟も起こした。
「日本には親権を擁護しようという意思がなく、このことは国際的に批判されています。日本の法律は非常に旧態然としている。アメリカドイツなど他の国々もかつては片方の親が親権を持つ単独親権制度を採用していましたが、30年前に法律を変えたのです。日本は遅れを取らないようにする必要がある」
と共同親権導入に取り組む串田誠一議員は前述のABCニュースで主張している。
 昨年、EU加盟国の大使20名以上が日本政府に文書を送り、子供が親に会う権利を尊重するよう日本側に求めた。フランスのマクロン大統領とイタリアのコンテ首相も、安倍首相にこの問題を提起したという。
 日本の司法制度の後進国ぶりは、ゴーン氏の逃亡劇を機に、マッキンタイヤ氏のように日本で人権無視のような拘留劇や親権問題を目の当たりにした外国人の声も加わって、これからも世界に露呈されて行くかもしれない。

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