両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成29年5月26日、読売新聞

論点「離婚後の子の養育 支援不十分」

 2015年の離婚件数は22万6000件であり、その約6割に未成年の子がいて、20万人以上の子どもたちが親の離婚に巻き込まれている。面会交流を求める調停事件は、15年には1万2000件と、この10年間で2・4倍にも増えた。少子化が進むとともに子どもがかけがえのない存在となっている。しかし、民法は離婚後、いずれか一方だけしか親権者になれないという単独親権の原則を定めているため、親権をめぐって紛争になりやすい。争いが起こると、結局、しわよせが全部、子どもにいってしまう。
 離婚時に面会交流や養育費の取り決めを行う規定も、12年に民法に明文化されたばかり。厚生労働省の調査結果でも、面会交流が行われているのは離婚後の親子の約27~37%、養育費を受け取っているのは2割に満たないという実情だ。
 離れて暮らす親子の面会交流には様々な問題が起こる。とくに子は、同居する親に配慮し、心に葛藤を抱きがちだ。面会交流に送り出す親にも、「連れ去られるのではないか」「危害を加えられるのではないか」と不安がよぎる。
 第3者が付き添う安全な場所、専門家が親子の相談に乗る体制などが必要だ。すでに、一部でNPOなどの活動がはじまっているが、こうした支援体制が十分でないため、父母間で紛争のエスカレートを招きやすい状態にある。
 17年1月、東京高裁は、9歳になる長女の親権者をめぐる争いで、母親に親権を認めた。
 1審では、子どもを無断で連れ去り、面会交流も年12回程度しか認めない母親よりも、年100回以上の面会交流と共同養育計画を提案する父親の方が親権者にふさわしいと判断していた。
 東京高裁判決は子どもの利益の観点から1審判決を覆したもので、大きく報道された。親権についての関心の高さと判断の難しさを改めて印象づけた。
 離婚後の親子の面会交流や継続的な関係を維持できるよう「親子関係維持促進法案」も超党派の議員立法として提案されようとしている。これに対しては、児童虐待、女性への家庭内暴力(DV)などがある事案への配慮に欠けているのではないか、との批判がある。
 世界的な潮流としては、「子の権利」を重視し、離婚後の「親の共同養育責任」に向けて法や支援制度の整備を進める国が増えている。離婚後の子の養育は、「大人の勝ち負け」ではなく「子どもの幸せや利益」を第一条件として考えていくという理念だ。子どもの権利として、面会交流を促進するし、養育費も取り立てる。子どもの心を傷つけないための親への教育プログラムなども実施している。
 日本でも、「子どもの養育支援基本法(仮称)」などを定め、離婚だけでなく、ひとり親を含めた子育てをする親や子どものために、国や自治体が支援の責任を果たしていくべきだ。そのうえで、面会交流や養育費など子どもの養育に関する合意形成、実現に向け、早急に取り組むべきであろう。

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