両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成28年12月8日、中日新聞

<子どもに会いたい 別居後の面会交流>(中) 不安抑えて「娘のため」

 離婚や別居で離れて暮らす親と子どもの面会交流には、子どもと同居している側の親の理解が不可欠だ。しかし同居の親と元パートナーの間は信頼関係が崩壊し、複雑な感情を抱いている場合が多い。そんな感情のもつれから子どもを会わせたくないという思いがある。
 北関東地方に住む女性(41)は五年前、離婚した。調停では、当時、保育園の年長だった娘の面会交流を月一回、行うと決めた。
 「会わせたくない気持ちと、子どもに父親は必要なんだろうなという思いが入り交じっていました」と、女性は振り返る。
 女性は公務員だった元夫から家庭内で「おまえのせいで仕事がうまくいかない」「妻としてやるべきことをやってない」と怒鳴られることがあった。手を出されることはなかったが、子育てと仕事で精いっぱいの中、元夫の高圧的な態度は、「精神的なDV(ドメスティックバイオレンス)」と感じられた。
 別居後、しばらく会わずにいると、元夫は実家に押しかけて玄関の戸を激しくたたいたり、親族との話し合いでも怒って怒鳴りだしたり。
 離婚調停で子どもの面会交流は第三者機関を利用して行うと主張したときは、「なぜ第三者機関を使う必要があるのか」と怒りだした。怖くて二度と会いたくないと思った。
 調停が成立して、最初に娘を会わせるときは不安でいっぱいだった。元夫がそのまま娘を連れ去ってしまうのではないか、子どもにひどいことを言うのではないか。悪いイメージばかりが膨らんだ。
 しかし、初めての面会交流を終えて無事に帰ってきた娘は、久しぶりに父親に会えたことに大喜びだった。
 面会交流の日は、手帳に書き込んでいる。初めのころは、その日が近づくと嫌で嫌でたまらなかったが、最近は特に気にならなくなった。娘と元夫が会うこと自体に問題はない。娘は小学校の担任に「もっとお父さんに会いたい」と言ったことがあり、面会交流を月二回にした時期もあったほどだ。現在は、元夫の仕事の都合で月一回だが、第三者は立ち会わず、娘自身が携帯電話で父親と連絡を取り合って、会う日を決めている。
 しかし、自分自身が会いたくないという気持ちは変わらない。面会の日に娘を送り届けるときも、顔を合わせないようにしている。自分は仕事と子育てに追われているのに、元夫は月に一度会うだけ。「いい顔ができていいね」と腹立たしくも思う。ただ、子どもが喜んでいる。その顔を見ると、これでよかったんだと思う。
 さまざまな形で面会交流の支援を行っている団体「びじっと」(横浜市)が十一月末、同居している側の親向けに開いたセミナーには約十人の母親が出席し、率直に不安を語った。
 「父親に会わせることが、本当に子どものためになるのか」「元夫に子どもを連れ去られるかもしれない」「自分の今の居場所を、元夫に知られたらという恐怖がある」
 代表理事の古市理奈さん(45)は「夫婦が別れたからといって、子どもにとって元夫が父親であることは変わらない。多くのお母さんが頭ではそのことを分かっているけれど、心はなかなか付いていかない」と話す。
 セミナーで古市さんから「別居中の親は、子どもに会えなくてどういう苦しみの中にいるのでしょうか」と尋ねられた母親は、しばらく言葉に詰まった。そして「分かってはいるけど、言葉にしようとすると心がざわざわする」と複雑な気持ちを語った。
 別居中の親が「子どもに会いたい」ともがく一方、同居の親も苦しんでいる。古市さんは「自分たちの感情を抜きにして、まずは両親が子どものための面会交流という出発点に立たないと、うまくいかない」と話す。
 (寺本康弘)

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