平成27年6月2日、産経新聞1
親による子供の連れ去り、米では法的に「誘拐罪」 国際問題発展も
米国人男性が元妻の死後に娘の養育権と身柄の引き渡しを求めた異例の申し立て。米国では子供が親に会う権利が尊重され、親による子供の連れ去りは“誘拐”とみなされることもある。子供の連れ去り問題に非協力的な国に制裁措置を取る法律も成立。日本への適用も議論されている。
米ABC放送は2011(平成23)年、日本人の妻による子供の連れ去りを特集。日本を「親による子供の連れ去り天国」と評し、反響を呼んだ。番組では男性らが日本人の妻に子供を連れ去られ、会うことすらできないと訴えた。日本人の妻が「子供を誘拐するか自殺するしかなかった」と答える様子も放映された。一方、参院外交防衛委員会調査室の資料によると、子供の連れ去りは米国で誘拐罪とみなされ、米連邦捜査局(FBI)に指名手配された日本人女性もいる。
08年には、ブラジル人女性が米国人男性との間にできた息子を母国に連れ去った後に死亡。男性は親族に引き取られた子供の返還を求め、ブラジルの裁判所に提訴した。世論の高まりを受け、クリントン元米国務長官がブラジル政府に返還を要求。米下院ではブラジルに経済制裁する法案まで提出された。結局、ブラジル最高裁は子供の返還を命じる決定を下したという。
米国ではハーグ条約の対象になるような事案について適切な措置を取らない国に対し、経済・軍事支援などを停止する制裁を加える法律が昨年成立。米下院小委員長は、日本への制裁発動を提唱している。米国務省の特別顧問(児童問題担当)が近く来日し、日本政府と話し合う予定。
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