両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

寄稿SeasonⅩ ③

Season 10「クレイマー以後」考③

 心理相談員だった棚瀬一代さんはルポルタージュ「『クレイマー、クレイマー』以後~別れたあとの共同子育て」(1989年初版発行、筑摩書房)の中で、こう書いています。
 「離婚は一面で、より積極的人生、より建設的人生、より健康な人生への第一歩であることは確かだ。だが、両親を愛する子どもにとっては、片親との別れを強いる大きな悲劇でもあることが、映画『クレイマー、クレイマー』では、じつに見事に表現されていた」
 
 棚瀬さんは米国でインタビューを続けるうちに、カリフォルニアの「クレイマー、クレイマー」と思えるカップルに出会います。ダイアンとオリバーです。
 ダイアンはジェーン・フォンダを小柄にしたような魅力的な女性。夫オリバーは長身で若々しく、やさしそうな人でした。2人は高校の同級生で、24歳の時に結婚しました。当時、オリバーは医学部の1年生。卒業まで、ダイアンが代用教員や家庭教師をして家計を支えました。
 幼児期から結婚するまでのダイアンは、当時の人たちが多かれ少なかれ皆そうであったように、家事・育児は女性の務めだと育てられてきました。でも、どうしても自己にこだわり続け、妻であり母親であるだけでは満たされない女性、自分のために生きることを捨てきれない女性でした。家事・育児に追われ、抑え込まれたエネルギーがある日爆発し、突然家を出ます。2人の娘は8歳と4歳でした。
 通算4年という長い別居の末、1982年に正式に離婚が成立、17年間にわたる結婚生活が終わります。
 当時の米国社会は「夫婦の別れは、片親と子の別れ」といった意識が依然支配的でしたが、ダイアンとオリバーは離婚後の共同子育てという生き方を選びます。クレイマー夫妻のように裁判で争うことはせず、自然の成り行きとして「子どもは2人で育てていく」という事実を受け入れたのです。
 このように共同養育を試みる人たちは、着実に増えていきました。パイオニア的生き方を選ぶ人たちがいたからこそ、他に先駆けたカリフォルニア州での法改正が可能になった、と棚瀬さんは著書で述べています。
【気弱なジャーナリスト・Masa】

Season10-3
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更新 2023-05-15 (月) 06:52:26
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