寄稿SeasonⅨ ④
Season 9 「離婚の子ども」考④
加藤彩夏さん(仮名、20代、会社員)は6歳の時に両親が離婚しました。
「私の場合は、自分という存在を肯定的に受け止めて、認めてあげられたことが大きかったです。SNSでの書き込みで多くの人からサポートをもらったこともそうですし、母と会って「私は望まれて生まれてきた」という話を聞けたこともそうでした。そうしたことを通じて「かけがえのない自分」という意識を持つことができました」
冊子「「離婚の子ども」の物語~喪失と成長のプロセス」改訂2版の中で、加藤さんは語っています。
「私の経験を振り返って思うのは、子どもは父と母と双方から愛されていると感じる必要があるということです。それがわかれば、いろいろと問題が起こったとしても、きっと何とかなるのではないでしょうか」
自身も親の離婚を経験した当事者で、冊子を中原和男さんと共同編集した綿谷翔さんは、「離婚の子ども」の心理面で共通する点を1つだけ挙げるならば、それは「我慢と罪悪感」と指摘しています。
「子どもは同居親によって「生かされている」状態のため、親の機嫌をできるだけ損ねないためにも不用意に聞けずに我慢してしまう。不用意に聞いて親が不機嫌になった、そんなケースが多々あります。子どもにとっては同居親に命を握られているということ。そんな親の機嫌を損ねることは、子にとって生存に関わることに直結します」
綿谷さんは、さらに述べます。
「子どもにとって両親とは、自分を形成する半分ずつの存在であり、アイデンティティの基盤となる存在です。(離婚によって)そのアイデンティティを失ったばかりか、その理由さえ教えてもらえず、本来は信頼関係で結ばれる親から「嘘」を語られる(そうしてもう1人の親の悪口を吹き込まれる)ことが、どれだけアイデンティティの形成に悪影響を及ぼすかは想像に難くないでしょう」
【気弱なジャーナリスト・Masa】
『「離婚の子ども」の物語~喪失と成長のプロセス』はB4判112ページ、税込み1000円(送料別)。購入や取材の問い合わせは、事務局(rikonnokodomo@gmail.com)へ。
更新 2023-04-24 (月) 06:46:11
a:361 t:1 y:0