寄稿SeasonⅨ ②
Season 9 「離婚の子ども」考②
SNSミクシィの管理人・中原和男さんと公認心理師・綿谷翔さんが共同編集した冊子「「離婚の子ども」の物語」。その中の体験談は、同じように親の離婚を体験した人の参考にしてほしいと願って提供されました。
大江香織さん(仮名、30代)は、1歳の時に両親が別居し、4~5歳の頃に正式に離婚しました。母方の実家に引き取られ、母が再婚後に実家を出たため、祖父母を親代わりとして育ちました。
「父には小学生の頃から会いたいと思っていましたし、祖母に対してもそう話していました。ですが祖母からは「会わない方がいい。会うと悪い影響を受けるから」と反対され、会わせてもらえませんでした。当時の私は、残念な気もしましたが、そこを無理して自分の気持ちを主張するわけでもなく、ああそうかと納得していました。しかし、まだ時折「父に会いたい」とは思っていたし、そう言葉に出していました」
臨床心理士の棚瀬一代さんは著書「離婚で壊れる子どもたち」で、9~12歳児(前思春期)について「他方の親を子どもの世界から排除するならば、やがて子どもが青年期になった時に、自分を片親から疎外させた親に嫌気がさし、良い関係を維持することができなくなる危険性が高い」と指摘しています。
当事者の香織さんは述べます。
「母は離婚して今は海外にいます。私はその後結婚して娘が1人生まれました。父を知らないことは、大きい、と思います。後で気がついたのですが、知らず知らずのうちに父の面影に似た男性を好きになるような気がします」
さらに「父のことは写真で見ただけなので、その印象から感じることなのですが、どうも父の面影を引きずっている気がします。そういえば、これまで付き合った男性も、母子家庭で育った人とか、私と似たような雰囲気の人が多かったです。その意味では、親の離婚が私に及ぼした影響は大きかったと思います」
当然ながら影響が小さいはずはないでしょう。
【気弱なジャーナリスト・Masa】
更新 2023-04-10 (月) 06:45:34
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