両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和6年4月16日、日本経済新聞

* 共同親権、何が変わる? 民法改正2026年施行へ

離婚後の共同親権の導入を柱とする民法などの改正案は16日、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決された。参院送付後、今国会で成立し、2026年までに施行される見通しだ。親権をめぐる家族法制の見直しは77年ぶりとなる。改正の概要や課題を3つのポイントでまとめた。

(1)そもそも親権とは? 改正の概要は?

「親権」は未成年の子どもの身の回りの世話や教育、財産を管理する権利・義務の総称で、結婚している夫婦は双方が持つ。民法で定められている。戦前は父親が単独で親権を持っていた。1947年の改正で、離婚後は父母のどちらかが持つようになったが、一方のみの単独親権が続いてきた。
欧米を中心に、離婚後も共同親権を認める国が多い。国内では、離婚した親と子が会う「面会交流」が親権を持つ親の意向で実施されないといった問題も指摘されてきた。面会交流を求める家庭裁判所への調停申し立ては2022年に1万2876件と、20年前に比べて4倍近い。

共同親権が導入されれば、父母が協議して双方が親権者となるか一方のみとするか決められるようになる。意見がまとまらない場合は家裁に申し立てて判断を仰ぐ。
改正法案は父母の責任も明確にした。離婚していても父母は協力し、子どもの人格を尊重して自身と同程度の生活を維持できるように扶養しなければならないと定めている。
養育費も確保しやすくなる。取り決めなしに離婚しても一定額を請求できる「法定養育費」制度を創設する。他の債権より優先して請求できる「先取特権」を付与し一般的に認められる額を確保可能にする。金額は今後決める。

(2)親権者間で意見が対立したら?

共同親権を選ぶと、子どもの人生での重要な選択に関して離婚後も父母が協議して決めることになる。受験や転校、手術、パスポートの取得などにおいて双方の合意が必要になる。意見が対立した場合はその都度、家庭裁判所が親権を行使できる人を判断する。
与野党の修正協議の結果、衆院法務委員会は12日、子どもと同居するなど一方の親だけで決定できる「急迫の事情」や「日常の行為」について周知するガイドラインを制定するよう、政府に求める付帯決議を採択した。
法務省によると「急迫の事情」にはドメスティックバイオレンス(DV)からの避難や、けがによる緊急手術などが該当するという。一方で慢性的な持病への手術は事例ごとに判断すると説明している。

共同親権を選択した父母が遠方など離れて生活している場合、医療行為の実施に双方の同意を得るのが遅くなる可能性がある。
日本産科婦人科学会、日本小児科学会などの4団体は23年9月に「父母の離婚後も子どもに医療が必要なときに両方の親権者の同意を得る必要があれば、生命・身体の保護に必要な医療を実施することが不可能あるいは遅延する」と改正案に懸念を表明した。
虐待やDVの被害者からは親権を理由に加害者が子につきまとう懸念があるとの声があり、野党は虐待などへの配慮を求めた。自民党は共同親権を決める際に父母双方の「真意であることを確認する措置を検討する」と付則に盛り込む修正案を示し、折り合った。法施行後5年をめどに、制度の再検討をすることなども盛り込んだ。

(3)導入後の課題は?

教育費に関しては、共同親権にした場合は父母の所得が合算されて所得制限の対象となるケースがあるため注意が必要だ。高校の学費を実質無償化する就学支援金制度はDVなどで片方に負担を求めることが難しい場合を除き、親権者2人分の収入を合算した金額が所得制限の対象となる。申し込みの手続きにも父母双方の課税証明書などが必要になる。
教育費に詳しい日本大学の末冨芳教授は「離婚したら別家計で所得は低くなるのに、高校無償化が適用されなければ進学できなくなる子どもが出てくる可能性がある」と話す。
DVや虐待があると裁判所が判断した場合は単独親権を認めるが、DVの見極めは困難との見方もある。内閣府の調査で国や都道府県などへのDV相談は年間約17万件あるのに対し、裁判所による接近禁止などの保護命令は年間1000件程度にとどまる。
2人の子どもを持ち離婚を経験したある50代の女性は「夫の精神的DVが原因で離婚したが、一刻も早く離れたかったため家裁には報告しなかった。相手が認めていないDVを争点にすると調停が長期化すると考えた」と振り返る。
法改正を歓迎する声もある。離婚後の両親での「共同養育」を支援する団体、りむすび(東京・渋谷)の柴橋聡子代表は「『離婚した家庭はひとり親』という意識が変わる契機になる」と評価する。父母間で「意見が割れた際の裁判所の明確な評価基準を確立する必要がある」と注文をつける。
(堀越 凜人、杉山恵子)

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