両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和2年8月10日、神戸新聞

養育費ビジネス化に懸念

 明石市が7月、自治体として初めて、不払いになっている養育費を立て替える取り組みを始めた。上限5万円、わずか1カ月分だけだが、国に先駆けて踏み出した一歩は大きい。

 かたや、インターネット衣料品通販大手のZOZO(ゾゾ)の創業者前沢友作氏が設立した新会社の「養育費あんしん受取りサービス」はどうか。不払いの養育費を立て替えるまでは同じ。大きく異なるのは、毎月の養育費の15%、1年分を一括して受け取る場合は25%という保証料が必要になることだ。

 明石市の泉房穂市長は先日、養育費保証をうたう民間ビジネスが少しずつ増えている現状を「不払いの解消は、ひとり親家庭の子どもの貧困をなくすため。子どもが受け取る養育費が保証料などで目減りするのは趣旨に反する」と訴えた。

 2014年から、離婚する夫婦に養育費と面会交流を取り決める書式を配布する同市。市職員が両親同士の連絡調整や子どもの受け渡し、付き添いを担う「面会交流支援」にも取り組む。「すべては子どもの利益に」との視点で一貫している。

 利潤を追求する民間ビジネスで、その視点を持ち続けることができるのか。そもそも諸外国のように、国が養育費の不払い対策をきっちりと制度化すれば、わざわざ民間ビジネスに頼る必要はないのではないか。泉市長の興奮した口ぶりに、そんなことを考えた。

 国は重い腰をどう上げるのか。厚生労働省の調査(16年度)によると、ひとり親世帯の貧困率は5割を超え、養育費を受け取っている母子世帯は全体の4分の1以下。苦しんでいる世帯から上がる「待ったなし」の声は、警報となって今この時も鳴り続けている。

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