両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成30年5月16日、毎日新聞

離婚・再婚 分野横断的な新学会を設立 11月に研究大会

離婚・再婚に伴う親権や養育費などの法律問題から、子どもへの精神的な影響や支援の在り方まで、分野横断的に研究する新しい学会「日本離婚・再婚家族と子ども研究学会」が先月設立された。11月には、茨城大水戸キャンパス(水戸市)で研究大会を開催する予定だ。学会の発起人で代表理事を務める茨城大の野口康彦教授(臨床心理学)に、日本における離婚・再婚家族の問題や学会が目指す方向性を聞いた。【聞き手・吉田卓矢】

--学会を作ることになった社会的背景を教えてほしい
 日本は、離婚後も両親が親権を持つ選択的共同親権制度を採用している米国などと違い、どちらか一方が親権を持つ単独親権制度だ。しかし、子どもの権利である面会交流の実施や養育費の支払いなどがきちんとされないケースも多い。離婚が貧困に直結したり、子どもの発達への影響なども考えられる。
--なぜ養育費の支払いや面会交流がきちんとされないケースが多いのか
 日本では離婚の約9割が司法や行政が介入しない協議離婚だ。民法766条では、協議離婚の際、面会交流や養育費などについて、子どもの利益を最優先に考慮しなければならないと定めているが、紙1枚で離婚でき、罰則規定なども無いため、事実上、口約束になっている。
--離婚・再婚にまつわるさまざまな問題を議論する場として学会を作ったのか
 さまざまな問題がある一方で、この分野の研究自体が少なく、心理学、社会学、法学、医学などの研究者と家裁調査官などの実務者、離婚家族の支援者などが一堂に会して議論する場も無かった。法律・制度の在り方と支援の在り方が共有されず、議論の材料さえ十分に無い状態だった。学会を作ることで議論の素地となる調査・研究を蓄積させたい。
--11月の大会はどんな内容になるのか
 11月3、4日に行う予定で、現在、発起人6人で議論しているが、研究発表と、当事者支援団体などのワークショップ、シンポジウムの3本立てになるだろう。メインのシンポジウムでは、おそらく面会交流の実情と課題がテーマになる。海外のシステムや制度と比較して日本では何が足りず、何が課題になっているのかを研究者らに発表してもらい議論するような形になると思う。
--学会の入会募集はいつから始めるのか
 募集は6月ごろから始める。入会金は2000円で、年度会費は5000円(学生2000円)。多くの研究者や学生、実務家らに参加してもらいたい。
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 学会の問い合わせ先は、野口教授(yasuhiko.noguchi.8215@vc.ibaraki.ac.jp)。

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