両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成29年1月26日、産経新聞1

「6年別居」の父、逆転敗訴 親権「寛容な親」重視せず 東京高裁

 40代の夫妻が長女(9)=妻と同居中=の親権を争った訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁であった。1審は父娘の面会を月1回程度と望む妻に対し、夫が妻に年100日の面会を約束したことを評価。同居中の親を有利としてきた従来の基準を適用せず、夫を親権者とし、長女を夫に引き渡すよう妻に命令したことから注目を集めたが、東京高裁の菊池洋一裁判長は「面会の約束は他の事情より重要度が高いとはいえない」とし、親権者を妻とする逆転判決を言い渡した。
 1審千葉家裁松戸支部は昨年3月、「長女が両親の愛情を多く受けるためには多数の面会を約束した夫に養育されるべきだ」と判断。従来重視されてきた、現在の成育環境を維持するため同居中の親を優先する「継続性の原則」よりも、欧米的な「フレンドリーペアレントルール」(より相手に寛容な親を優先する基準)を重視し、初適用した事例とされていた。
 2審で妻側は「引き渡しは長女の意思に反する上、慣れた環境から子供を引き離すべきではない。100日面会は子供に負担だ」と主張。夫側は「子供の意思は周囲に影響される。環境変化に子供は適応できる。100日面会は両親からより多くの愛情を受ける利益がある」と反論していた。
 判決で、菊池裁判長は「面会の約束は考慮すべき事情の一つだが、面会だけで子供の健全成育や利益が確保されるわけではない」「長女は妻の下で安定した生活を送っている上、母親との生活を望んでいる」と指摘。「100日面会は移動の負担や、友達との関係にも支障が生じうる。妻側が望む月1回程度の面会でも子供の不利益にはならない」と判断した。
 夫妻をめぐっては、平成22年に妻が夫に無断で子供を連れて家を出た。妻側の「夫にドメスティックバイオレンス(DV)があった」との主張については、1審同様、認定されなかった。

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