両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成28年12月7日、弁護士ドットコム

親子断絶防止法案】馳浩・議連事務局長「養育のあり方のルールは規定すべき」

未成年の子どもをもつ夫婦が離婚後、直面しやすい2大トラブルが「養育費を支払ってもらえない」「子どもと会えない」だ。そこで現在、超党派の国会議員(約70名)が所属する「親子断絶防止議員連盟」が、面会交流の実施などを促す「親子断絶防止法案」の提出に向け、検討を重ねている。

法案は、児童の権利条約を踏まえ、離婚後も親子関係が継続することの重要性を強調。「子の最善の利益に資する」「父母がその実現についての責任を有する」などとして、離婚時に面会交流や養育費の分担に関する書面での取り決めを行うことや、面会交流の定期的な実施を促している。

法案の背景には、離婚して以後、子どもと会えなくなった側の親らからの要望がある。しかし、DVなど、夫婦関係や離婚理由によっては、面会交流が危険となるケースもあるなどとして、研究者や弁護士らかは危惧する声も出ている。

超党派議連の事務局長である馳浩衆議院議員(自民党)は、「両親の婚姻関係が破綻、離婚した後に、養育のあり方についてのルールを規定しておくべき」と話す。法案の狙いや反発の声について、見解を聞いた。

●「特別な配慮」が必要な場合には?

ーー法案のポイントはどこにあるのか?

まず、私がこの法案について取り組んだ背景から説明したい。議員になって以後、困難な課題を抱えて成長をせざるを得ない子どもたちの問題に強い関心を持ち、立法に取り組み、法律のフォローアップもしてきた。

具体的には、児童虐待防止法、発達障害支援法、いじめ防止対策推進法、ハーグ条約(の実施法)など、子どもに関する様々な立法に取り組んできた。さらに、2011年には、民法766条の改正があり、ここで養育費や面会交流について定められた(編集部注:親権停止制度の新設、離婚後の面会交流等の明文化など)。

その後も、子どもの最善の利益は何か。子どもたちの成長、発達段階に応じて、どのような対応が必要か、勉強会を開いてきた。家族の問題、それもとてもプライベートな問題だ。どこまで行政や立法が、踏み込んでいくのか。子どもの権利条約ハーグ条約、民法などを参考に、最高裁、法務省、警察、児童相談所、学校、病院、弁護士などの話を聞いてきた。

そのような中で、両親の婚姻関係が破綻、離婚した後に、養育のあり方についてのルールを規定しておくべきではないかと考えた。

ーー 一貫して問題意識があったということか?

そうだ。また、共同親権がいいのか、単独親権がいいのかという問題意識も持っている(編集部注:日本は単独親権)。

ーー法案のポイントは何か。面会交流の実施の努力義務だけでなく、共同親権についても盛り込むことになるのか?

法案は子どもにとっての最善の利益を確保するためのものだ。婚姻制度があるように、離婚する時に子どもがいる場合にも、社会的なルールが必要だ。

面会交流は努力義務だが、「特別な配慮」が必要な場合には、面会交流は義務付けるものではない。また、正確に言えば、共同親権は「附則」(規則の規定を補うためにつけ加えた規則)につけた検討項目だ。

ーー罰則はないのか?

最初から、罰則は考えていない。罰則のある法律にはしたくなかった。この法案は、理念法だ。罰則がある形にしたら、それを交渉材料にして、スムーズに離婚できなくなるとも考えられるからだ。

ーー共同親権についてはどうか?

我が国が単独親権であることをふまえ、本当にそれでいいのか、という考えはある。いわゆる共同親権、共同養育計画まで検討を広げたほうがいいのではないかという認識はある。

ーー共同養育計画についても、法案には盛り込むのか

書いていない。

●立法する意味

ーー法案の目的は、面会交流の重要性をアピールするためということか?

その通りだ。ひとつひとつの事案が千差万別だが、立法をもって、子どもの立場に応じて、(それぞれの関係者が)対応していって欲しいということだ。

ーー罰則もない理念法なのに、立法する目的は何か?

養育費が支払われていない事案も多い。子どもの貧困、教育力の格差にもつながっている側面もあるだろう。

もし、保護者が十分に子どもの成長に配慮できない場合、また保護者が対応しているつもりでも対応できていないような場合には、行政、民間団体、弁護士ら第三者がかかわったほうがいい事例もある。

一方で、(離婚する夫婦と接点のある)市町村の窓口や、家裁の審判員、調停員などの訓練ができているのか、個別の事案に対応する人員が揃っているのか。離婚の件数、未成年の子どもを抱えたご両親の数に比べ、その数が十分に揃っているのかは疑問だ。専門的な相談にのる方、法学部の学部・大学院生、司法修習でも、こうした事案に関する研修を重ねていただきたい。

人材育成の体制づくりのためには、財政措置が必要だ。それを促す上で、立法があるのと、ないのとでは意味が違う。

ハーグ条約の前から子どもの問題に関わってきたが、ハーグ条約が第一ステップ、第二ステップが民法766条の改正、第三ステップがこの立法だと考える。もちろん、その先には第4、5ステップの目標もあるだろう。

(以上、前編。後編に続く)

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