両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成28年10月1日、毎日新聞

親子面会交流 法案に懸念

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 超党派の国会議員でつくる親子断絶防止議員連盟(会長・保岡興治衆院議員)が、父母が離婚時に子との面会交流や養育費について取り決めることを努力義務とする「親子断絶防止法案」をまとめ、臨時国会への提出を目指している。しかし子供を連れての別居防止や共同親権制度の検討にも踏み込んだ内容に、DV(ドメスティックバイオレンス)被害者支援団体などから懸念の声が上がる。

●議連提出目指す

「娘を思わない日は一日もない。親が子に会いたい、責任を果たしたいという願いがなぜ、かなわないのか」。東京都内の大手企業に勤める40代男性は、元妻のもとで育つ娘との面会交流が1年以上、実現していない。「娘との面会交流が滞るのは元妻の妨害行為によるもの」として、元妻に対し400万円の損害賠償請求訴訟を起こしている。

 2009年10月から、元妻が男性の不貞行為などを主張し離婚調停を申し立てたが、親権で折り合いがつかず訴訟に発展。元妻はこの間に突然、当時小学生だった娘を連れて別居に踏み切った。最高裁まで争ったが「母親が監護している現状を尊重すべきだ」などとして親権者は母親とする判決が出た。男性は離婚後、娘の養育費など毎月計約20万円を元妻に支払っている。

 男性は離婚訴訟と並行して面会交流審判を申し立て、「月1回の日帰り面会、春、夏、冬の長期休暇期間には宿泊を伴う面会」などが決められた。しかし面会の日程を決めるために代理人を通じて連絡を取っても元妻側が「娘は塾通いがある」などと面会時間を制限したり、直前に断られたりと、決定通りに実施されてこなかった。男性の代理人である高橋未紗弁護士は「日本の単独親権制度は子の奪い合いや離婚の泥沼化を招く。裁判所は親権者を決める際に現状維持を重視するので、子連れ別居をして監護実態を作った親が有利になるのが現状。面会交流をどう実施していくかは監護親の意向に左右されがちだ」と指摘。今回の法案を「面会交流の実現に向けて、一歩踏み込んだ内容で評価できる」とした上で、「養育費の不払いや配偶者へのDV、子の虐待などがあるケースへの配慮をどう行うのか。運用面でのケアが重要になる」と指摘する。

 ●DV被害者ら反対

 一方で、DV被害者支援団体などから法案に反対する声も上がっている。法案の条文には「児童虐待、DVなどの事情がある場合には、特別の配慮がなされなければならない」とあるが、専門家やDV被害者たちは「DVや虐待は証明できない場合も数多くある。特別の配慮といってもあてにできない」と危惧する。

 DV避難母子を支援する民間シェルターの代表者は「暴言によるDVや性虐待は証拠がない場合が多い。面会交流は一生加害者から支配とコントロールを受けるようなものだ。面会交流を受け入れないと離婚に同意してもらえないケースも増えた」と懸念。実際、加害者の父親と会った子どもの精神状態が悪化したり、連れ去られそうになったりしたケースがあったという。

 また、特別な配慮が必要かどうかの判断を行政に任せることは期待できないとも指摘する。「加害者男性は他人の前だと反省を口にし外面を取り繕う。行政の担当者が被害女性に『家庭に戻ったら』と勧めることもあり、実態を見極めることは難しい」と顔をしかめる。

 2人の子供とともに、夫のDVから逃れた女性は「どんな親でもつながりを持ち続けるべきだという法案は、子供への悪影響を全く考えない大人の都合にすぎない」と訴える。夫から「このクズ」などの暴言を浴び、抵抗したら殴られた。「お母さん逃げよう」と子供に言われ、9年前に母子でシェルターに避難した。その後離婚が成立したが、月1回の面会交流を義務づけられた。元夫からは「会わせないなら養育費を払わない」と言われている。連れ去りなどを警戒し、半年以上、弁護士立ち会いで行った。「子供は元夫にいつもおびえ、ビクビクしているし、泣きながら帰ってきたこともある。家族にとって何が幸せかはケース・バイ・ケース。何かあったら誰が責任をとってくれるのでしょうか」と問いかける。

 ●整備不十分なまま

 離婚事件や親子関係の問題に詳しい金澄道子弁護士は「養育費の支払いも面会交流も、当事者間の話し合いでは適切な取り決めが難しいのが現状。子供の貧困解消のためにも、離婚時に子の養育について取り決める仕組みと合意内容の実現に向けた支援体制は必要」とした上で、「離婚理由や子供の意向などの事情が異なるのに、親子の継続的関係が原則的に子の利益とする法案の前提は疑問だ」と指摘。父母が紛争状態にある中で面会交流をスムーズに実施するには、日程調整や受け渡し、安全に面会できる環境整備について第三者が介入する仕組みが欠かせない。「そうしたソフト面の整備が不十分なままで、子の監護親にのみ面会交流の努力義務を課すことが子の利益にかなうといえるのか」と問題提起する。【中川聡子、坂根真理】

親子断絶防止法案

 日本は民法で、離婚後は一方の親が親権者となる単独親権制度を定めている。親権を持たない親と子の定期的な交流が保障されていないとして、当事者団体が法整備を求めていた。2014年3月に超党派の議連が発足し、今年8月に法案を発表。「離婚後も父母が子と継続的関係を維持することが原則として子供の利益に資する」という基本理念のもと▽父母は離婚時に、面会交流と子の監護に関する費用分担を書面で取り決めることを努力義務とする▽子の監護親は面会交流が定期的に行われるよう努めなければならない▽面会交流の実施で子の利益に反する恐れがある場合は、特別の配慮がなされなければならない−−などと定めている。

<当該記事について>
 親子の交流に反対する団体は、DVなどを反対理由として主張しています。彼らの主張は、ことさらにDV被害と面会交流拒否を主張するだけで、DVの事実がない別居親と子どもとの交流について、子どもの最善の利益に基づきどうあるべきかについての提言はありません。
私たちは、真のDV被害者が実態不明な民間シェルターに逃げることではなく、国家により適正な手続きにより守られなければならないこと、虚偽DVを防止するためにも証拠主義に基づき警察の公平な捜査を義務づけ、DV認定手続きの公正さを確保することを前提とした真正DVの刑事罰化などDV防止法の運用の改善が必要であると考えています。

 別居時の子の連れ去りによりわが子との交流が途絶えている全国の別居親の大多数は、DVや子への虐待がなくても、引き離され何年も交流ができない実態があります。そのような親子が永遠に断絶することを防ぐためにも「親子断絶防止法」が早期に制定されることが、子どもの健全な成長や、養育費の支払いによる子どもの貧困防止に寄与します。

【「えん罪DV」関連ニュース】

  • 「週刊新潮」2015年9月24日菊咲月増大号、DV防止法成立15年で急増した『冤罪DV』実態報告
     記事の内容はこちらを参照ください。
  • 平成26年6月9日、関西テレビ・スーパーニュース アンカー、須田慎一郎のニュースな裏話 "でっちあげDV"背景には何が?
  • 平成26年5月1日、テレビ東京・DEEPナイト DVえん罪の実態
  • 平成26年4月22日、フジテレビ・とくダネ でっちあげDVに苦しむ人たち

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