平成27年1月30日、産経新聞
スリランカへ子供の返還命令 母親の即時抗告棄却 大阪高裁
国際結婚の破綻などで国外に連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に基づき、スリランカに住む40代の父親が、30代の母親と西日本で暮らす娘(5)の返還を求めた審判の即時抗告審で、大阪高裁(金子順一裁判長)は30日、娘をスリランカへ返還するよう母親に命じた大阪家裁決定を支持し、母親側の抗告を棄却した。
大阪家裁は昨年11月、ハーグ条約に日本が加盟して以来、国内初となる司法判断を出したが、母親が不服として即時抗告していた。
これまでの決定などによると、父母はいずれも日本人。3人は平成25年2月、父親の仕事の都合でスリランカへ渡航し、昨年6月に一時帰国した。再び3人でスリランカに戻る予定だったが、母親が父親に戻る意思がないと伝えたため、スリランカに戻った父親が娘の返還を申し立てた。
金子裁判長は決定理由で、娘が帰国後も現地のインターナショナルスクールに通学予定だったことなどから「居住国はスリランカ」と認定した家裁決定を相当と判断した。「娘がスリランカに行くことを拒んでいる」などとする母親側の主張も認めなかった。