両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年4月23日、西日本新聞

ハーグ条約加盟 国内の連れ去りにも目を

 国際結婚が破綻した後の子どもの扱いを定めたハーグ条約は正式名称を「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」という。

 一方の親が子どもを国外に連れ去ることを違法とするのが最大の特徴で、いったん元の国に戻すことなどを定める。国境を越えることで生活が急変し、子どもに悪影響を与える恐れがあるからだ。

 日本は今月から、そのハーグ条約に正式加盟した。一方の親が国外に子どもを連れ去った場合、今後は条約に基づく国際ルールの下で解決を図ることになる。

 子どもを奪われた親が返還を申し入れると、相手国は子を捜して両国が面会や返還をあっせんし、当事者間で解決を促す。対立が続けば裁判所の返還命令を経て子どもを元の国へ返さなければならない。虐待など危害が及ぶ恐れがあるときは、返還を拒否できる。

 ただ、日本人女性の場合は家庭内暴力(DV)が原因で子どもと一緒に帰国することも多く、関係者には「逃げ場がなくなる」と危ぶむ声もある。家族間の問題を一律のルールで解決するのが難しい例も想定される。政府は国内外の支援態勢を充実させるべきだ。

 同時にまた、国内の問題にも目を向ける必要がある。日本では一方の親が子どもを連れて家を出ても原則的に罪には問われず、養育をめぐる深刻なトラブルに発展する事例も少なくないからだ。

 家庭裁判所の調停や審判でも、連れ去って一緒に暮らしている方の親が親権
を得る場合が多いという。こうした現状は、やはり何らかの改善を図るべきだろう。

 背景にあるのは親権の問題だ。欧米諸国の多くが離婚後も子どもの成長に両親が責任を持つ「共同親権」の考え方を採用しているが、日本は一方の親だけに認める「単独親権」になっている。

 欧米との親権制度や家族観などの違いが国際結婚の破綻をめぐるトラブルの要因とも指摘される。ハーグ条約加盟を契機に、DVや虐待から守る態勢を整えた上で、子どもの健全な成長を第一に考える方策を検討していきたい。

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional