平成26年3月5日、読売新聞
「早朝・深夜避けて」…強制引き離しマニュアル
国際結婚が破綻した際の子どもの扱いを定めたハーグ条約が4月1日に発効するのを前に、最高裁は、子どもを元の居住国に戻すため、親から引き離す強制執行のマニュアルを全国の裁判所に通知した。
子どもへの影響に配慮し、早朝や深夜の執行は避け、子どもが拒絶した場合は執行できないとする詳細な基準を示した。ただ、強硬に拒む親をどう説得するかなど課題も残る。
「お子さんを渡してもらわないと困ります」
「死んでも離しません」
2月5日、埼玉県和光市の裁判所職員総合研修所で、子どもの強制引き離しを想定した初のリハーサルが行われた。説得を試みる執行官を母親役が拒否し、後ろに隠れた子役は「行きたくない」とおびえている。押し問答は約10分間続き、同行した児童心理の専門家の助言を受け執行は後日に延期することになった。
この日は、全国の地裁で引き離しを担当する執行官20人が参加。最高裁によると、執行官からは「引き離しのイメージがわいた」との声が上がる一方、「強硬に拒否する親の説得方法を考える必要がある」などの意見も出たという。
欧米では、親であっても子どもを配偶者に無断で連れ去ると、誘拐などの罪に問われる国が多い。国際離婚の増加に伴い、子どもを無断で連れ帰った日本人が、海外で罪に問われるなどのトラブルが増えたため、日本政府は今年1月にハーグ条約に加盟した。