平成24年10月25日、読売新聞
きしむ親子④ 家庭不和「将来自分も」
(前略)
離婚や父母のいさかいは、子どもの心身の発達にどんな影響を与えるのか-。米国では、1980年代から活発に研究が行われているテーマだ。しかし、日本では、離婚に対する偏見につながる、子どものプライバシーの侵害になるとして研究は進まなかった。
2006~07年、茨城大の野口康彦准教授はこんな研究を行った。
(中略)
親の離婚を経験した学生への個別インタビューの中では、生活環境の変化による様々な体験がトラウマになったり、異性と親密になることを恐れたりするケースもあった。野口准教授は「子どもの傷をいやすためには、親や周囲が子どもの気持ちを受け止め、支える環境を作ることが大切だ」と話す。
今月21日、東京都内で「法と心理学会」が開かれ、東北公益文科大の益子行弘講師(福祉心理学)が、両親が離婚した一人親家庭の子ども212人を対象にした調査結果を報告した。「離婚後に別居する親に会えていない子」と、「月1回以上会えている子」を比較したものだ。
「自分は悪い人」「他人から嫌われやすい」-。自分をそんな風に捉えていたのは「会えていない子」たちだった。別居した親と交流がある子に比べ明らかに、自分を大切に思える「自己肯定感」が低く、他者との友好な関係を築くのが難しい傾向があった。
益子さんは、「会えていない子」が、別居する親の悪口を同居する親から聞かされている割合が91%あることに注目した。「会えている子」は28%だった。「『別居する親に会えない=悪影響』という」単純な図式ではない。別居する親への否定的な態度そのものが子どもの心理に影響を与えている可能性がある」
(中略)
益子さんは深い悲しみを覚えた。「父母の対立による悪影響を最小限にとどめるための手当てを、一日も早く考えなければならない」
※詳細は、掲載記事を参照ください。