両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成23年9月1日、大分合同新聞

増える別居後の面会交流トラブル、親子なのに

 離婚後は父母のどちらかに子どもの親権が属する「単独親権制度」の日本。離婚後の親子の面会交流に法の明文規定はなく、子どもと別居することになった親(別居親)と子どもが会い、親子の絆を保っていくことが困難なケースもある。

 「共同」親権の法整備を

 「離婚しても親であることに変わりはない。なぜ息子に会えないのか」。小学生の息子を持つ県中部在住のある女性は訴える。
 離婚協議で親権は元夫に。当初は毎週末に元夫の家で息子に会ったが、会う場所や時間などで元夫との意見が対立。「親が子に会うのは当然のこと。裁判所なら公正に判断してくれるはず」と調停を申し込んだが、元夫との溝が深まり、ついには会うこと自体を拒否されるようになったという。
 「自分から離婚を切り出したので、親権まで主張できなかった。虐待などの問題もないのに、親権がないだけで親子の絆を育むことを制限されるのは、納得できない」と女性。
 結局、調停は不成立で、息子とは会えない状態が続く。現在は、審判で親権変更と面接交渉(面会交流)について申し立てている最中で「外国のように、親が離婚しても子どもが両方の親からきちんと愛情を受けられるような法整備を」と訴えている。
 離婚後の面会交流をめぐるトラブルは増えている。司法統計によると、子どもと別居親との面会交流に関する家庭裁判所への新規調停申し立ては、2000年度は2406件で、2010年度は7749件と3倍強になった。
 家事法制度に詳しい中村多美子弁護士(大分市)は「以前は諸外国も離婚後は単独親権だったが、離婚によって子どもが親と引き離されることが問題とされ、変わった。子どもの健全な成長と離婚による貧困を防ぐためにも、離婚後も共同で親権を持つ、あるいは共同で子どもを監護するような制度になってきている」と解説。「家庭内暴力などで、別居親とは完全に関わりを断つべきケースもあるが、共同で子育てができるという選択肢を用意した法制度が必要。一人一人がその必要性を認識し、声をあげることが大切になる」と話している。(吉田美佳)

 ポイント 親権・監護権
 日本では、婚姻中は共同親権。父母が共同で親権を持ち、子どもの監護(監督、保護)や、子どもの財産管理をする。離婚後は、父母のどちらかの単独親権で、親権と監護権を分けて考える場合もある。OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国の中で、離婚後に共同親権・監護権を選択できないのは日本のみ。

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