寄稿Season12②
Season 12 ②裁判官の裁量次第
別居親のYoujiさん
聞き手・気弱なジャーナリスト •Masa
Masa 1月30日、法制審議会(法相の諮問機関)の部会は、離婚後の共同親権導入を柱とする民法改正の要綱案をとりまとめました。今国会で法案が成立すれば、離婚後の親権に関する家族法制の改正は77年ぶりとなります。
「共同親権 離婚後に選択可/対立時は家裁判断」(朝日)、「離婚後の共同親権 導入/今国会に改正案/父母合意で選択可能」(読売)、「離婚後の共同親権導入へ/民法改正の要綱案/子の利益を優先」(日経)、「共同親権 選択可能に/「法定養育費」を創設/虐待、DVの懸念拭えず」(中日)
各紙が一斉に大きく報じました。当事者の立場から共同親権法改正の動きをどう見ますか?
Youji 確かに問題は前進したと思います。ですが、名ばかりの共同親権法案になる可能性は非常に高いです。
要綱案で注目すべき点は、親権、監護者の定めで裁判官が関与する際、相変わらず裁判官の裁量に任せる部分が大きい文章が入っていることです。
例えば「子の利益」や「DVの恐れ」という言葉。「利益」や「恐れ」の具体的な定義、そのエビデンス、基準が全くなく、今と同じ裁判官の裁量に任せる法案です。
現在の単独親権制度、刑法でも裁判官の裁量次第で親子断絶や子どもの連れ去りは禁じることができるのに、横行しているのは裁判官の自由裁量に任せたためです。
私が常に訴えている共同親権法改正は、法改正すれば親子が会えるとか、子ども連れ去りがなくなるとかではなく、裁判官の勝手な自由裁量に任せないために、裁判官を合理的法律で縛るための改正なのです。
Masa 識者の間でも「DVや虐待の懸念を十分に除外できる。男女平等や、子どもの権利条約の理念に沿い、現代に見合う画期的な改正内容だ」という声がある一方で、「話し合いが難しい父母にとって、一方の親に拒否権を与える共同親権では子を巡る争いが続くことになり、子のためにならない」といった意見があります。
Youji 親子断絶問題の解決まで、これからが本当の正念場だと考えています。
更新 2024-02-14 (水) 06:50:02
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