両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和5年5月11日、SAKISIRU

共同親権問題“裏バトル”、国の養育費受け取り「28→40%」は高いか低いか

マスコミが報じない「抜本改革」求める声

''こども家庭庁が所管業務として力を入れる養育費の支払い確保策が、自民党や法務省で議論している共同親権導入の成り行きによって微妙な影響を受けつつある。
政府は4月に養育費の受け取り率(受領率)を、現状の28%から2031年までに40%に引き上げる目標を掲げたが、現行の単独親権制度では限界が多く、欧米と同じく共同親権に移行し、不払いには罰則などを徹底化する「抜本改革」を求める声が上がっている。''

維新・梅村氏「限りなく100%を」

日本の養育費不払いは先進国の中でも特に低いとされる。背景には日本では協議離婚が可能で、養育費の支払い取り決めが法的に義務化されていないことや、不払いの別居親に対する罰則や強制執行が十分に機能していないことが挙げられている。兵庫県明石市が養育費の取り決め支援や不払い時には市が立て替えるなど独自の対策を行った事例が注目されたが、国全体としては養育費の受領率が3割に満たない。
海外では、強制執行制度が整備されたアメリカは受領率が6割程度。スウェーデンは未払いが起きた場合に国が一時的に立て替え、不払いの親から強制で徴収しており、実質的に未払いが起きないようにするなど、公的な制度が充実している。韓国はかつて受領率が日本を下回る惨状だったというが、養育費履行管理院を2015年に創設し、一時立て替えや罰則を強化。悪質な不払い親には収監や運転免許停止も可能にしており、2020年の受領率が36%に達した。
この問題について維新の梅村みずほ参院議員が9日の参院法務委で質問。政府が目標とする養育費受領率40%について「あまりにも低い数値だ。裏を返せば60%の子どもたちが(養育費を)受領できなくてもいいと受け取られかねない」と厳しく指摘した上で「限りなく100%を目指すべきだと思っている。見直しが必要ではないか」とただした。

梅村氏の質問に対し、こども家庭庁を担当する内閣府の自見英子政務官は目標値について「養育費の取り組みをしている場合の受領率を70%、養育費の取り決めの有無にかかわらない全体の受領率を40%と掲げたところだ」と改めて説明。「こども家庭庁としても重大な問題だと認識している」と歩み寄りを見せつつ、弁護士などによる相談支援や、保証会社における保証料の補助などの養育費の履行を確保する自治体のモデル事業を支援していることなどを挙げた。

「単独親権が大前提では」

梅村氏が「限りなく100%」と強気な背景には、親権制度の見直しがある。日本が継続している単独親権では親子断絶が起きた場合、支援や罰則などの制度面の不十分さも加わって受領率が低迷しやすい構造になっている。これに対し、欧米はDVなどの問題がある場合を除き、共同親権が原則だ。別居親との親子関係が安定的に継続できることで養育費の支払いを後押ししやすいとの見方がある。
共同親権の適用に反対するひとり親の支援団体の中には「養育費と親子の交流は切り分けて論じるべきだ」と反発する声もあるが、共同親権導入を推進する団体の関係者は「親子関係を継続し、養育費支払いを制度的に義務づけることで、受領率100%とは言わないまでも政府目標よりはるかに高い数値は実現できる」と強調する。

梅村氏もこども家庭庁の取り組みについて「単独親権制度が大前提になっているのでは」と核心を指摘。法務省の議論を見ながら対応している同庁の対応についても「子どものために親権制度がどういうものが理想なのか、 縦割りの弊害をぶち壊して子どもの味方に立つのがこども家庭庁の役割だ」との持論をぶつけた。

これに対し、自見政務官は「一般論としては父と母の離婚後も適切な形で親子交流が 実施されることは、子どもの権利の観点から非常に重要」と述べるにとどめた。
議論が行われている背景について、霞が関の関係者は「共同親権反対派が最近、旗色が悪くなり、法務省への働きかけからこども家庭庁へのアプローチに軸足を移し始めているとの情報が出ている。養育費支援に関与することで補助金や助成金を意識しているのではないか」と指摘する。

マスコミではこのあたりの実相は全く報じられていないが、法務省法制審家族法制部会のパブリックコメントに共同親権の賛成・反対含めて約8000件もの意見が提出されたとされる裏で、こども家庭庁が“新たな主戦場”になろうとしている。

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