両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和4年7月13日、静岡新聞

離婚後の共同親権、静岡県内賛否 法制審、8月中間試案

 離婚後の父母の双方に親権を認める「共同親権」を導入する案などを盛り込んだ家族法制の見直しに関する中間試案を、法相の諮問機関である法制審議会の家族法制部会が8月にも取りまとめる。静岡県内では親権を失った別居親を中心に共同親権の実現を求める動きが活発化しており、推進派、反対派の双方が「正念場」と法制化の行方を注視している。

 「親として、子に関わりたい」。県東部の別居親の50代男性は思いを吐露した。家庭裁判所の審判で定期的な面会交流の約束をしたが、子どもと2年以上会えていない。
 2020年に全国の別居親らと「単独親権制により人権侵害を受けている」として国に損害賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起こした県東部の40代男性は、新型コロナウイルスの感染拡大で面会が制限されるなど影響を感じていて、「法的な枠組みを変えないと、親なのに部外者扱いのまま」と話す。
 静岡県内には別居親の活動組織として「静岡親子の会」「浜松親子の会」があり、計40人が参加する。地方から声を上げる全国運動と連動し、県や市町の議会に国への意見書提出を求める活動に取り組む。「面会交流支援に必要な法整備」や「共同養育の実現」などを盛り込んだ意見書案は昨年9月までに、県議会や静岡市議会など八つの議会で採択された。
 一方、単独親権者であるひとり親の支援団体からは「中間試案は共同親権ありきで、当事者の実態を踏まえていない」との指摘がある。静岡市の支援団体「シングルペアレント101」は「離婚で両親の対立から免れた子どもたちが、共同親権導入によって再び渦中に引き戻され、葛藤にさらされる」と懸念を示す。
 家族法制部会の中間試案は、共同親権を原則とする案と、現行民法の単独親権を維持する案の両論併記になる見通しだ。共同親権について部会は①父母双方が合意した場合②裁判所が子の利益に必要と判断した場合―などで認めるケースを想定する。中間試案の取りまとめ後、パブリックコメント(意見公募)を経て答申案を決定する。
 <メモ>厚生労働省の人口動態統計によると、2020年に婚姻した夫婦は52万組あり、離婚した夫婦は19万組と、約3組に1組が離婚している。日本は民法で婚姻中は共同親権、離婚後は単独親権制度を採る。

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