両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和3年3月28日、日本経済新聞

離婚しても子育てに関わりたい 共同親権、議論の行方は

配偶者と別れても子育てに関与し続けたい。そう考える親にとって、離婚後は父母のいずれかしか親権が持てない「単独親権」制度が壁となる場合がある。親権者によって面会などが制限され、最近は新型コロナウイルスも影を落とす。一方で「共同親権」には慎重論も根強い。子ども第一の視点でどうあるべきか。国も議論を始めた。(榎本行浩)
「親としての責任を果たさせてください」。2月10日、東京・霞が関の法務省前に全国から約150人が集まり、次々とマイクを握っては離れて暮らす子どもへの思いを訴えた。手には「子どもと会いたい」などと書かれたカード。参加者の大半が離婚などの事情で別居する親たちだった。
4歳と1歳の子どもがいる千葉県の30代女性は1年ほど前に突然、夫から離婚を切り出された。子どもと一緒に住んで養育する「監護者」として、裁判所は義理の両親とともに家事を積極的に担っていた夫を指定した。女性は現在、親権を巡って離婚訴訟中だが、子どもと会えるのは月1回、1時間に限られる。
さらにコロナ下での外出自粛などを理由に、面会中止を告げられることもある。「子どもに自分が忘れられてしまいそうで、気がおかしくなる」。境遇が似た人たちが多数いることをSNS(交流サイト)で知り、集会に参加するようになった。
この日、法務省では法制審議会(法相の諮問機関)の総会が開かれていた。上川陽子法相は、離婚に伴う養育のあり方に関する法制度の見直しについて諮問。「子どもを第一に考える視点で幅広く、実態に即した検討をしてほしい」と求めた。離婚後も父母双方が親権を持つ共同親権導入の是非もテーマに含まれる。
未成年の子どもを育てる親の権利や義務である親権。明治期に民法の法体系が確立した日本では家父長制の影響で戦前は父親に、戦後は父母どちらかに認める単独親権を採用してきた。2011年の民法改正で面会交流は子の利益を最優先する内容が盛り込まれたが、両親の確執から守られないケースも多い。
海外はどうか。かつては単独親権が主流だったが、子育ては父母が平等に担うものとの考え方が浸透し、共同親権が定着するようになった。法務省が20年に公表した調査では主要20カ国(G20)を含む24カ国中22カ国で法的に認めていた。近年は日本の制度への批判も強まっている。
ただ、共同親権下で父母の離婚を巡る対立が続けば子どもが混乱し、不安定になるとの懸念も根強い。共同親権が導入されるかどうかは見通せない。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待への懸念から、面会交流の促進にも慎重な意見がある。
2月には単独親権は憲法違反として男性が損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁が「父母のうち、より適格な者を親権者に指定する規定に合理性はある」と合憲との判断を示している。
年間約20万人もの未成年の子どもが両親の離婚を経験している。こうした中、離婚前後の家庭を助けるため、面会交流の支援団体が相次ぎ発足している。
自治体が後押しする動きもあり、静岡県藤枝市は20年度から面会交流のために市内の保育園や小中学校で放課後などに部屋を開放した。東京都港区も面会交流の事前面談や日程調整を手掛ける事業を始めた。
家族法制に詳しい立命館大の二宮周平教授は、夫婦が等しく子育てに参画するのが常識となりつつある現状を踏まえ、「制度が社会の変容に対応しきれていない」と話す。
一方で海外では離婚時に養育方針を話し合う制度が充実していると指摘し、「法改正ありきではなく、親の養育を受ける子どもの権利擁護の視点に立った制度設計の検討が大切だ」としている。

養育費受け取ったことなし」56% 困窮するひとり親世帯

家族法制の見直しを巡る議論が動き出した背景には、離婚後に養育費が支払われないために貧困に苦しむひとり親世帯の存在がある。2016年度の厚生労働省の調査によると、離婚後、養育費を受け取っている母子世帯は24%にとどまった。「受けたことがない」のは56%に上っている。
民法は離婚時に養育費などを夫婦の合意で取り決めると規定しているが、強制力はない。厚労省調査では取り決めをしていたのは母子世帯で4割あまり、父子世帯で2割だった。
兵庫県明石市は20年7月、ひとり親家庭の困窮対策として子ども1人につき養育費を1カ月分、5万円を上限に立て替える全国初の制度を始めた。新型コロナウイルス禍で収入面で苦境に立たされたひとり親を支えるのが狙いで、これまで計22件の申し込みがあった。同市は「子ども支援を最優先に、行政としてできることをしたい」(市民相談室)と説明する。

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