両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

寄稿SeasonⅢ⑥

Season Ⅲ ⑥作花知志さん(弁護士

⑥作花知志さん(弁護士)
聞き手・Masaくん(気弱なジャーナリスト)
 
Masa 全国の連れ去り被害者100人が原告となって国に損害賠償を求める動きがあるそうですね。原告の数としては過去最多の訴訟ではないでしょうか。
作花 実子の連れ去りに対する国賠では過去にない規模ですね。私が原告代理人を頼まれていますが、この数だと訴状を作るだけで大変な作業となり、原告を数グループに分けて複数の地裁で提訴するか、あるいは弁護団を結成するか、現在模索中です。提訴が実現すれば画期的なことで、大きなニュースになるでしょうね。
Masa 2月21日付で警察庁刑事局から警視庁、各道府県警察本部あてに事務連絡が出ました。片親による同意なき連れ去りを犯罪(未成年者略取罪)と認定した最高裁の判決(平成17年12月6日)が添付されています。
作花 共同養育支援議員連盟の柴山昌彦会長らの働きかけを受けてのことだと思います。
〇同居していた夫(妻)が、自宅を留守にしている間に何も告げないまま子を連れて出て行き、以降連絡が取れず子にも会えない
〇別居していた夫(妻)が、子が通園する保育園から子を連れ出し、そのまま返さない
こういったケースを挙げて「被害の届出等への適切な対応に遺漏なきを期する必要がある」と通達しました。これは大きな前進ですが、正当な理由のない連れ去り・連れ戻しは刑法上許されない、とすることで終わるわけではありません。国が問題の解決規定をきちんとつくることが求められます。実態に即した形で、きめ細かく明確に解決への手段を明文化する必要があります。ここで国の〝不作為〟が問われるのです。
Masa 「愛する我が子が抱けないことは死より辛い地獄ですが、それ以上に辛いのは、まだ幼い我が子が愛着する実親に抱かれる機会を奪われることです。これが精神的DV・モラハラではないというのであれば、いったい何がそうなのか」…ある当事者の声です。
作花 定義があいまいですが「モラル・ハラスメント」という言葉がよく使われるようになりました。実子連れ去りの当事者団体の訴えなどによってモラハラ被害をDV防止法改正案に盛り込む動きがあります。私が関わってきた離婚後単独親権違憲訴訟や子の連れ去り違憲集団訴訟の効果が現れてきたと、うれしく思います。
Masa 先生が敬愛する詩人、童話作家の宮沢賢治は自らの理想郷を「イーハトーヴ」と呼び、それを追い求めました。
作花 賢治は東北の貧しい農家を救うための人生を貫いた人でした。農学校の教壇に立ち(私は岡山大学法学部で教えていますが)学生たちに人生の喜びと悲しみを語った人でした。
 彼の作品群に光が当てられることが多いのですが、私は「正義とは何か」「理想郷はどのような姿をしているのか」という法律家としての私から見た社会的な光を当てたいと思います。
 法律家といいますと、遵法精神に富んだ人、ともすれば杓子定規な人というイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。でも私は法律家に求められる才能は、実は音楽家ら芸術家に求められるそれと同じではないか、と考えています。
 法律そのものは、紙に書かれた文字にすぎません。そして、その文字にすぎない法律にどのような意味を与えるか、どのような解釈をするのかについての正解はありません。
 しかし、正解がないはずのその解釈の中に、人の心をつかむものが必ず存在するのです。(SeasonⅢおわり)

Season3-6
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更新 2022-03-28 (月) 06:59:02
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