両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成29年2月28日、沖縄タイムズ

娘の返還、米地裁が認定 ハーグ条約に基づき沖縄在住女性が要求

【クリッシー悦子米国通信員】国際結婚が破綻した後の子どもの扱いを定めたハーグ条約に基づき、沖縄県内に住む40代女性が米国人夫との間に生まれ、米国で夫の親族と暮らす1歳9カ月の娘の返還を求めた申し立てで、米フロリダ州連邦地裁は17日(現地時間)、女性側の要求は妥当として夫側に子どもの返還を命じた。娘が普段から住む場所(常居所)が日本国内だと認定された。女性側の代理人によると、日本がハーグ条約に加盟した2014年以降、子の返還申し立てを認めたのは県内で初めて。

 女性側代理人の武田昌則弁護士(琉球大学法科大学院教授)によると、女性は同年5月に在沖米陸軍所属の米国籍の男性と結婚。15年3月に米本土に夫と転勤転居したが、妊娠中にDV被害を受けたことなどで帰国。同年7月に長女を出産した。

 その後、夫側から「娘と親族の結婚式に参加してほしい」と懇願され、同年10月、夫の実家があるフロリダ州に渡航したが、夫から虚偽のDV告発を受けて逮捕された。娘は夫の両親に引き取られ、パスポートも夫が保管。夫側は子どもの親権を主張する訴訟を同州の裁判所に起こし、娘は夫の母親が引き取るべき、との決定が出た。

 女性は同州のシェルターに約2カ月滞在し、支援を受けながら娘の返還を求め続けたが認められず帰国。16年10月、ハーグ条約に基づき、同州連邦地裁に娘の引き渡しを申し立てた。17年1月には同裁判所での審理にも出頭。女性側は「娘は県内で出生し、国民健康保険や光熱費、住居費も母親が負担している」と訴え「結婚式のために渡米した際は、夫も、娘を連れての帰国を認めていた」などと主張した。

 夫側は「女性は米国に永住するつもりで渡米し、片道の旅券しか購入していない」などと反論したが認められなかった。

 決定を受け、女性は「大変なこともあったが、娘が帰ってくることを家族ともども喜んでいる」と語った。

 ハーグ条約は、連れ去りなどが始まった時、常居する国が条約締約国の場合、締約国に子どもを返還するよう求めている。武田弁護士は「妥当な判断。国際結婚が破綻した際のリスクを知ってほしい」と語り、今後、夫側と娘の引き渡しを調整する。一方で「同様のケースで母親の主張が認められなかった場合もあり、子どもが帰るまで安心できない」と語った。

 【ことば】ハーグ条約 正式名称は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」。一方の親が16歳未満の子どもを配偶者に無断で国外に連れ去った場合、原則として、いったん子どもを元の居住国に戻すことなどを定めている。1980年にオランダのハーグ国際私法会議で採択され、83年に発効。日本は2014年に条約に加盟し、16年11月の時点で95カ国が締結している。

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