両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年9月18日、週刊朝日

捨てられる夫たち 面会交流調停は3.5倍にも

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 2002年の28万9836組をピークに12年には23万5406組と、ここ十数年で減少している離婚件数。その一方で同時期に行われた面会交流調停(別居する親が子どもとの面会を求めて裁判所立ち会いの下、話し合い合意を目ざすこと)の申請数は3. 5倍に増加している。とくに比率、数とも男性が急増しているという。

 30代技術者・Bさんは子どもと同居している妻の実家を訪ね、直談判を試みた。彼は転職を機に収入が半減。妻の親が介入し別離。以来子どもと会えなくなった。

「乳児だった子どもを連れ去られたのは約7年前です。しばらくして妻の実家に行って義父母に自分が悪かったことを謝り続けましたが、妻子には会わせてもらえませんでした。『せめて子どもだけでも会わせて欲しい』と毎月手紙を送ったりもしたんですが、一切返事はありませんでした」

 その後、Bさんは子どもの通う小学校へ出向き再会を果たす。いないはずの父親に会えたことで、子どもはとても喜んでいたという。

 しかし交流はそこで絶たれた。妻側が学校に陳情し、Bさんが子どもに接近できないようにしたのだ。

「子どもがあんなに再会を喜んでくれたのに周りが親子の絆を必死に断ち切ろうとする。もう何が正しいのかわからなくなり鬱になってしまいました」

 こうして追い詰められ、面会交流調停に踏み切る男性が多いという。

 3年前に面会交流調停を経験した30代自営業者・Cさんは次のように話す。収入の不安定さを理由に妻子が家を出ていったという。

「調停では『暴力があった』とか『生活費を渡さない』とか元妻が嘘の主張をするんです。すると調査官、調停委員が反応して私を女性の敵として扱って『あなたは奥さんにDVを働いた』って言い切るんです。私が論破したら今度は『子どもが会いたがってない』と別の理由を出してきました。揚げ句の果てには『奥さんが体調を崩したから写真だけの交流にしましょう』と調停官に促されました。ずっとこんな調子なので調停を取り下げました。子どものことを考えると死ぬほど苦しくて何もできません。この世の中から消えてしまいたいと思うことがよくあります。でも子どものことを考えると死ねない。毎日その葛藤の繰り返しです」

 Cさんとは逆に、調停がうまくいき、会える取り決めができたとしてもハードルはさらにある。同居する親に面会交流を強制する法的な手段が存在しないため、同居親が「会わせない」と開き直ればそれが通ってしまうのだ。

 こうなると、裁判所に頼ってみても面会実現はなかなか難しくなるという。

 事態が長期化することで、会えない親はさらに傷つき、中には破滅的な行動を取ってしまうケースもある。

「子どもに会えなくてにっちもさっちもいかず相手に手出しするか、それとも自分が死ぬか。子どもに会えない親が自殺したという知らせが毎年少なくとも1件は来ます」(共同親権運動ネットワーク・運営委員の宗像充さん)

(ライター・西牟田靖)

※週刊朝日  2014年9月26日号より抜粋

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