寄稿SeasonⅢ③
Season Ⅲ ③柴山昌彦さん(衆議院議員)
柴山昌彦さん(衆議院議員)
聞き手・Masaくん(気弱なジャーナリスト)
Masa 子どもを連れ去った場合、自分の子どもだから誘拐罪を問われないと考えがち。離婚がまだ成立しておらず、法律上まだ親権者ならなおさらだと思う人も多いでしょう。でもコリン・ジョーンズさんの著書「子どもの連れ去り問題-日本の司法が親子を引き裂く」(平凡社)によると、2005年12月6日の最高裁判決で、保育園の近くで、2歳の長男を別居中の妻から奪おうとして逮捕されたに父親に対し、未成年者略取・誘拐罪(刑法224条)の適用が肯定されています。
柴山 私が会長を務める2月3日の共同養育支援議員連盟(議連)の総会で、警察庁側は同居からの連れ去りか、別居からの連れ戻しかを問わず、正当な理由がない限り未成年者略取・誘拐罪に当たると明言。これを現場に徹底するとしました。
上川陽子・元法務大臣も、国会で同様の答弁を既にしています。片方の親による子の連れ去りは有罪だとの最高裁の判例と同じ解釈です。警察庁もこのような判断で立件したケースはある、としています。
DV被害者や虐待されている児童を保護するためにも刑法224条の適正化が重要と考えます。
Masa そのような認識が末端のポリスまで浸透しているかというと、現時点では疑問ですね。
柴山 そこが難しい点で、交番のお巡りさんが理解しているかどうか…。当事者からの告訴は受理したものの対応できない事例が多く、現場も混乱します。ただ、警察庁は現場の実務として徹底させると説明しています。
Masa これまでにも共同養育支援法(親子断絶防止法)の議員立法の案が作られましたが、議員が各党へ持ち帰ってから立ち消えになっています。今の議連の本年の目標は?
柴山 議連が何もやってこなかった訳ではありません。昨春、親権問題について民法の制度面、運用面での見直しを当時の上川法相に申し入れ、法制審への諮問につながりました。
親子の面会交流の環境整備をサポートし、別居・離婚後も十分な親子の触れ合いができるようにしたい。親がいつまでも親であり続けられるよう国会議員としての責務を果たしたい。
また先日の議連で、内閣府はDV法に「精神的DV」を加える際は要件を明確化し、認定プロセスの適正性を保障した上で、真に救済すべき方を救うようにすると答弁しました。これらの議論を踏まえ、本年の早い時期に「中間とりまとめ」を提示したい。
本件は「片親疎外」による子の支配、「継続性の原則」を悪用した連れ去り得、「拉致司法」といった点も批判されています。私自身も虚偽でないDVからの子の保護は否定しません。ただ、審議の対象は離婚後の問題だけにとどまりません。
軽々に結論を下すことはできませんが、一方的な連れ去りは親にとってショッキングなことでしょう。関係者の方々の調整を丁寧に進め、課題を一つ一つ着実に解決していきたいと考えています。
更新 2022-02-21 (月) 07:03:43
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