両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成29年1月3日、ZUU online

離婚後の子供の引渡し、ようやくルール明文化へ

離婚後に親が子供を引き渡すルールに付いて、法務省の法制審議会(法相の諮問機関)で議論が本格化する。これまでは強制執行するといったルールが明確にあったわけではない。親権の無い親が引き渡しに応じない場合は「間接強制金」の導入も視野に入れているという。2018年には民事執行法の改正案提出を目指すと報じられている。
子供が「動産」?
引き渡しルールはいわゆる「ハーグ条約」にならったものだが、仮に親権のない側の親が応じない場合は、その分だけ支払い金額が毎日加算される仕組みとなる。ただこれには、強制金さえ払えば引き渡しを無視しても良いと考える親もいるという問題がある。
民事執行法には子の引き渡しの強制執行に関する規定がなく、これまでは「動産」の引き渡し規定を類推適用してきた。
問題は子どもを「動産」として扱う事に対する福祉や人道上の倫理観に対する指摘だ。最高裁によれば2015年の申し立て件数は97件程だがその内で子供が引き渡された件数は実際には27件となっている。また民事執行法に具体的な規定がないため、執行官の運用に委ねられた格好になっているのも問題だ。
今回の議論の中心は執行に関するルールづくり
離婚後に親権者や監護者となった親が、子供の引き渡しを求める裁判を起こす事はできる。だが裁判で引き渡しを命じても親が応じない場合、執行官が強制執行を最終的に行う。これまでは強制執行の実効性が低かったため、今回の議論の中心はこの執行に関するルール作りが焦点だ。
養育費を支払う約束をしても、まじめに支払い続ける人の割合はかなり低いといわれている。特に母子家庭の貧困化を防ぐためにも、支払義務がある人の財産差し押さえを容易にすることは必要かもしれない。
養育権の放棄という考えはないアメリカドイツ
海外ではどうなのだろうか。日本の離婚では父母が共同して親権を行使することはできないので、協議しいずれかが親権者と定める(民法819条1項)。または裁判上の離婚の場合には裁判所が父母の片方を親権者と定める(民法819条第2項)事になる。
まずアメリカでは離婚後の子供の親権は基本的に共同親権となる。考え方として離婚をしても親をやめるわけではないという考え方がベースにあるという。養育権の放棄というものはなく、どちらかが子供を育てながら、片方の親も養育費を払いながら育てる。仮に支払わない場合は、裁判によって相手親の銀行口座の差し押さえや給与から強制的に振り込み手続きがなされる。
それでも支払わない場合は最終的に犯罪者ということで逮捕され実刑判決が言い渡されることもあるそうだ。
ドイツの場合も離婚後は両親が親権を持つ共同親権が主流だという。母親が引き取った場合は、週末には父親が会いに来たり、一週間ごとに交互に子供の面倒をみたりといった感じだという。
日本のように一方にだけ単独親権を与える制度は世界では珍しいといわれている。子供をどちらが引き取るか決まったら終わりではない。夫婦それぞれに事情はあるだろうが、子供のすこやかな成長に少しでも資する、新しい制度を目指してほしい。(ZUU online 編集部)

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