両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成28年2月19日、朝日新聞

(私の視点)家族のあり方 親権問題にも論点広げて 古賀礼子

 最高裁は先日、夫婦同姓の規定は合憲だと判断したうえで、制度のあり方は国会で議論すべきだとした。だが、家族のあり方という大きな観点から見れば、議論すべきは姓の問題だけにとどまらない。

 互いの情愛の下で人生を共にするという約束は法律婚に限られないから、もともと夫婦別姓の選択肢はだれにでもある。問題はログイン前の続き、法律婚に夫婦別姓の規定がないがゆえにそれを選ばなかった時、何を失ってしまうのかということだ。

 その一つに、法律婚をしなかった結果、生まれた子どもの親権が原則として付与されない父親の問題がある。親権のない父親は事実婚を解消すると、親としての地位がほとんど尊重されることなく、面会もままならない。子どもと引き離される父親にこそ、選択的夫婦別姓の導入を求める合理性が見いだせる。

 日本が先進国に後れをとっているのは夫婦同姓の制度だけではなく、法律婚をしていない父母に、単独の親権しか用意していないことなのだ。

 しかし、実は、法律婚の夫婦で離婚がまだ成立せず、共同の親権がある段階でも、別居した親(多くは父親)の親権の行使は事実上、否定される実態がある。親子の引き離しは、事実婚のために親権を得られなかった男性に限らない。

 共同親権を行使する父母の意見が対立した場合の手立てを、民法は何も規定していない。それにもかかわらず、一方が配偶者に無断で子どもを連れて別居した場合に、その連れ去り行為の違法性を不問にしたうえに、連れ去った親の監護の継続を尊重してしまう今の司法の運用は、問題があると言わざるを得ない。

 昨今、「イクメン」が推奨されているが、妻が思い立って別居に至れば、仕事をしながら育児にも協力していた程度では、子どもと会うことすら難しくなる事態が簡単に訪れる。

 こうしたことが頻発している事実を知ったら、男性はどう思うだろうか。男性の育児への参加意欲をそぐようなことになれば、女性の育児負担も解消されないだろう。加速するのは少子化だけだ。

 いま議論すべきは、選択的夫婦別姓の導入の是非だけではなく、親権の不平等の問題も含めた家族のあり方そのものなのだと思う。

 (こがれいこ 弁護士

アクセス数
総計:1634 今日:1 昨日:0

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional