両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成27年12月3日、朝日新聞

離婚後の養育トラブル、解決支援 費用や面会、こじれる前に NPOなどが取り組み

離婚したあと、子どものことで悩む親は少なくありません。養育費はいくらか、別居したほうの親はどんな頻度で会うのか、離婚をどう伝えるのか……。関係のこじれた親同士が話し合うのは難しいため、解決を支援する取り組みが広がっています。

 東京都の30代の男性会社員は先月、離婚した。もうすぐ3歳になる長男はログイン前の続き、元妻と暮らしている。

 離婚する前の協議で、長男が20歳になるまで男性が養育費を月4万円ずつ支払うことや、定期的に会う「面会交流」については合意した。ただ、男性には「子どもの成長を見守りたい」という気持ちがあり、「会える頻度や、誕生日や小学校入学などの節目にかかわれるかどうかを決めたい」と思った。

 元妻に相談し、一緒に「離婚と親子の相談室 らぽーる」(東京都千代田区)を訪ねた。NPO法人日本リザルツが10月に始めた。ここでは、ADRという方法で問題の解決をめざす。

 ADRは「裁判外紛争解決手続き」と訳される。訴訟を起こさず、第三者を仲介して当事者同士が話し合う。ADRを使った支援は広がっているが、養育協議に特化して支援するのは珍しい。

 らぽーるのADRでは、弁護士が同席して、養育費の額や支払い方法、面会交流の予定などを決める。そして、それらを盛り込んだ「共同養育計画合意書」をつくる。合意書をつくるのは、公証役場に出して公正証書とし、法的な効力を持たせるためだ。

 元妻は「先のことはわからない」と合意書をつくることに同意しなかったが、話し合いは続けることになった。

 利用料は申し込み方によって変わる。合意書を作るには、申し込みに親それぞれが3千~4千円、相談1回にそれぞれ1万円かかる。公証役場に出す場合はさらに手続き代理費用にそれぞれ2千円と、役場の手数料がかかる。

 らぽーるは、離婚が子どもにあたえる影響や、離婚後の親の子育ての協力について学ぶ「親教育プログラム」も開いている。10月にあった第1回は約20人が参加し、父母それぞれの役割について意見を出すなどした。

 養育支援を担当する日本リザルツ事務局次長の鈴木裕子さんは「親の感情はいったん置き、子どものために冷静に話し合う場が必要。難しい場合が多いのは承知しているが、親同士の対立が深刻にならないうちにきっかけをつくりたい」と話す。

 これらの取り組みは、厚生労働省の調査研究事業になっている。来年3月まで利用者の調査を続け、効果と課題を検証する。

 問い合わせは0120・085・125(平日午前10時~午後6時。12月26日~1月3日は休業)。ホームページはhttp://oyako-support.jp/別ウインドウで開きます。子どもからの相談も受け付けており、臨床心理士などが対応する。

 ■子の気持ち、考える講座

 子どもは、離婚を自分のせいだと思い込んだり、離婚後も親から愛してもらえるのかと不安になったりしがちだ。

 こうした心情を知り、離婚後の子育てを子どもの立場から考える「FAIT(ファイト)プログラム」の開発が進められている。白梅学園大学の福丸由佳教授(臨床心理学)らが米国のプログラムを改良した。

 福丸教授らは一昨年、東京都でプログラムの試行実践をした。参加者は離婚後の子どもの様子などを話し合った。

 大阪府の男性(47)は6年前に離婚。長男(11)は元妻と暮らしており、会えるのは月に1度だ。離婚後、長男が無気力になった時期があり、男性が態度をとがめると、「僕はどうせ1人だもん」と泣き出したことがあった。面会のたびに「大切に思っているよ」と伝えると、以前の様子に戻っていった。

 試行実践で配られたテキストには「親子の関係は離婚後も続くことを子どもに伝えることが大切」とあった。男性は手探りで長男と接してきたが、「離婚前に受講していたら、気持ちに寄り添うのに役立ったと思う」と話す。

 離婚後の養育支援に取り組む自治体も増えている。

 兵庫県明石市は離婚届を取りに来た人に、子どもの気持ちを解説したパンフレットを配布する。「離婚は子どものせいではないことをしっかりと伝える」「子どもの前で相手のことを悪く言わない」などの助言をまとめている。

 窓口では「こども養育プラン」と「こどもの養育に関する合意書」も配る。提出の義務や法的な拘束力はないが、泉房穂市長は「子どもの気持ちを置き去りにせず、考えるきっかけにしてほしい」。愛知県半田市や鹿児島市でもプランや合意書を配っている。(畑山敦子、伊藤舞虹)

 ■離婚後の養育費 取り決め37.7%、受け取り19.7%

 厚労省によると、2014年の離婚件数は22万2107件。うち、父か母どちらかが親権をもつことが必要な20歳未満の子がいる割合は約6割の12万9千件だった。

 ひとり親世帯を対象にした11年度の厚労省の調査で、母子世帯の年間収入の平均は291万円(10年)。離婚による養育費の取り決めをしているのは37・7%、養育費を受けとっていると答えたのは19・7%にとどまり、養育費を受けとっていないことが母子世帯の厳しい経済状況の一因になっていることがうかがえた。

 面会交流の取り決めをしているのは母子世帯で23・4%、父子世帯で16・3%だった。

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