両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成27年10月12日、SankeiBiz

離婚後の面会交流 子供が「ルーツ」を知る意味とは

 離れて暮らす子供との面会交流への関心が高まっている。平成24年の民法改正で、子供の利益を最優先して親子の面会交流を決めることが明記され、面会を求める調停の申し立ても増えているという。実の親との面会交流は子供にとって、どのような意味を持つのだろうか。(加納裕子)

 ■リラックス

 「父さんと会うとリラックスする。最初はゲームセンターで遊んで一緒にご飯を食べるだけだったけど、そのうち泊まりに行くようになった」

 兵庫県内の男子大学生(21)は父親との面会について、声を弾ませてこう語る。両親が小学校高学年で離婚して以来、月1回の面会を続けている。母親が再婚し、再び離婚したことは父親には言っていない。父親も今の家庭の事情を詮索することはなかった。

 一緒にゲームをしたり、食事をしたり。父親と過ごすときは、勉強のことも、新しい家庭での悩みも忘れられた。別れ際には「来月また会おう」と手を振り、次の再会を楽しみに待つ。

 「娘はパパが大好きで、精神的支えだと分かっていたから面会は必須でした」。大阪府の自営業女性(48)は17年前の離婚をそう振り返る。当時5歳の長女と元夫の関係を断ち切るのをためらい、別居して実質的に離婚していたが10年近く籍を抜かなかった。

 長女は月に2回、週末を元夫の実家で過ごし、夏休みは元夫のもとへ。「パパと少しでも長く一緒にいたい」と言うので月曜の朝に迎えに行き、そのまま小学校に送った時期もある。

 女性は「母子家庭は子供に逃げ場がないと言われる。娘にはパパがいてよかった」としみじみと語る。

 ■ためらいも

 しかし、面会させることをためらう親もいる。神戸市の介護福祉士、安木麻貴さん(44)は2カ月に1回、中学3年の長男を元夫と面会させるが「最初は嫌でした」と打ち明ける。

 離婚後に仕事を始めて必死に働いた。離婚当時、小学1年だった長男をがみがみと叱ることも多かった。面会に行くと、長男は楽しそうに遊んでくる。帰ってきたら、また叱る自分…。元夫から養育費は支払われていたが、苦々しい思いは消えなかった。

 それが変わり始めたのは、長男が成長し、父親の欠点も冷静にとらえることができるようになった頃。「別れて暮らしていても子供にとってはルーツで、とても重要だった」と今では思っている。

 ルーツを知らされないことは、子供にとっても禍根を残す。大阪府高槻市でひとり親家庭の子供への支援制度のある塾を経営する渡剛さん(26)は、父親の消息を知らされずに育った。高校3年のときに父親が亡くなり、初めて父親について知った。「自分のことをどう思っていたのか、話がしたかった」と渡さんは語る。家庭が困窮し、大学進学をあきらめていたが、父親の遺産で進学できた。「会ったことがないから美化できるのか、救世主的なイメージ」という。

 ただ、ひとり親家庭の子供を支援する立場の今、渡さんはすべての家庭で面会交流をすべきだとは思わないという。「ドメスティックバイオレンスがあった家庭もあり、親の判断で会わせない選択もある。子供自身に会いたくないという感情がある場合もある。ケース・バイ・ケースだと思います」

 ■場所提供などの支援拡大

 面会交流をめぐっては、民間団体や自治体が、面会の場所を提供するなどの支援が広がっている。平成26年4月から支援を始めた兵庫県明石市では、離婚届の配布時や離婚に関する相談を受けた際などに、面会の場所や頻度、連絡方法などを取り決めるよう勧め、面会場所として市立天文科学館を無料で使えるようにしている。配布資料には「両親が離婚して他人になっても、親子の関係は変わらない。子供は両親から愛されたいと願っている」と記載。面会交流は親子の絆を強め、子供の健全な発達に必要だと強調している。

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