両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年9月2日、毎日新聞

離婚前講座:子どもを守るために…明石市が日本初導入へ

 離婚する父母の対立が子どもに心理的・経済的な悪影響を与えないよう、兵庫県明石市は年度内にも、子どもとの面会交流や養育費分担を促すための離婚前講座を試行的に導入する。米国では多くの州がこうした講座の受講を義務付けているが、日本の自治体が導入するのは初めて。離婚を決めた家庭に対する公的支援が日本で定着するか注目される。

 米国では裁判をしないと離婚できないが、日本では裁判を経ない「協議離婚」が約9割を占め、手続きの過程に公的機関が関与する機会も乏しい。

 2012年4月に施行された改正民法は、離婚前に親同士が面会交流と養育費の分担を取り決めるよう規定したが、強制力はない。親権を持たない別居親と子どもが会えなかったり、同居親が養育費を受け取れなかったりするなど、子どもの福祉が置き去りにされているケースも少なくない。

 講座のモデルは、1990年代に米国ケンタッキー州の大学教授が開発したプログラム「FAIT(ファイト)」(Family In Transitionの略。米国名はFIT)。他の米国の州のプログラムより内容が充実しているとされ、欧州やアフリカの一部にも広まっている。

 FAITでは、離婚を決めた複数の家庭が親同士と子同士のグループに分かれ、数日間の講習を受ける。親はディスカッションや教材用DVDの鑑賞を通じて離婚によって子どもが受ける心の痛みや反応を学び、子どもには絵本やゲームなどを通じて「離婚は両親の問題で、自分のせいではない」と理解してもらう。

 明石市は、講座が1日で終わるよう、国内の大学教授らがFAITを数時間に短縮した独自のプログラムを採用する。現行法では受講を強制できないため、離婚直後の家庭も含め市が参加希望者を募集して、教授らを支援する形で試行を始める。

 明石市の泉房穂市長は「離婚は自由だが、子どもに不利益が及ぶことはあってはならない。試行結果を踏まえ、来年度以降、行政サービスの一環として講座を提供することを検討したい」と話している。【山本将克】

 ◇親権

未成年の子を養育する親の権利義務。日本は「単独親権制」を採用しており、民法は父母が離婚した場合はどちらか一方に親権が帰属すると定めている。協議離婚の場合は話し合いで、裁判で離婚する場合は裁判所が決めるが、母が親権者となるケースが全体の約8割を占める。欧米では、離婚後も父母の双方が子を養育する「共同親権制」を採用する国が多く、一方の親が面会交流や養育費の支払いを拒むと、犯罪とみなされることもある。

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