両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年12月24日、サンパウロ新聞

離婚後の共同親権 ジルマ大統領が承認

単独親権より優先扱いに

ジルマ大統領(労働者党=PT)は22日、子供の両親が離婚した場合に子供の監督権、また経済面を含む養育や教育に関する責任と決定権を両親に等しく与える「共同親権(Guarda Compartilhada)」を原則と定めた法案を承認した。23日付の連邦官報(DOU)に掲載され、同日から同法は施行となった。2008年8月にルーラ前大統領(PT)は、それまでブラジルで認められていた唯一の親権制度だった「単独親権(Guarda Unilateral)」以外の選択肢として共同親権制度を認める民法11698号を施行していたが、新たな法案では共同親権が優先的に扱われることになるという。23日付の伯メディア(ウェブ版)が報じた。

 現在既に単独親権を採用している両親でも、いずれかが共同親権への変更を望めば裁判を起こした上で判事の判断によって共同親権が認められることになる。さらに、両者が共同親権への変更を望んだ場合も調停が必要となるが、移行は原則としてスムーズに行われることが見込まれている。

 一方で、離婚係争中の夫婦のどちらかが離婚後の親権の破棄を望む場合には、相手側に親権が与えられることになる。この場合、親権の破棄を望む親は子供を適切に育てない可能生があるためだという。

 共同親権制度の優先性を定める新法に対する国民の関心の高さは、国会で先月に同法が可決された際に大統領官邸(プラナルト宮)のメール受信箱が賛成の意を述べたEメールで溢れかえったというエピソードからもうかがえる。さらに法務省の専門家や全国弁護士会、人権局も支持を表明していたが、判事らの一部は同法を「極度の介入だ」として反意を示していたという。

 同法の発足により、23日以降の離婚係争では親権について両親間で合意に達しない場合、例外を除いて共同親権が付与されることになる。これについてサンパウロ州第6家庭裁判所のオメロ・マイオン判事は「良いことだ。養育費の問題になると子供たちの人格は無視されて道具のように扱われており、ひどい時には復讐の手段にもされている」とコメントした。

 さらに離婚後、両親の間の連絡が途絶えている場合でも、子供と生活を共にしていない親には共同親権の責任を果たすことが求められるという。これにより片親の負担が軽減されると共に育児委棄を行うことが困難になることが望まれる。

 また、共同親権下とはいえ子供たちの生活の拠点は固定することが強く推奨されている。ただし法律では子供たちが両方の親と同等に接触することを前提としており、養育費の捻出も共同作業になるとみられる。このため、子供と生活を共にしている親の収入からも判事によって養育費が算出され、定められた金額を月々捻出することが義務付けられる。

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