平成26年10月16日、毎日新聞
ハーグ条約:日本在住の子、返還求め審判申し立て
国境を越えて連れ去られた子の扱いを取り決めたハーグ条約に基づき、海外に住む父親が、母親が日本に連れ帰った子の返還を求めて16日にも大阪家裁に審判を申し立てることが分かった。関係者によると、東京家裁でも海外に住む親が日本で暮らす子の返還を求める審判の申し立てが14日にあった。4月に条約が日本で発効して以降、子の返還を求める審判申し立ては国内ではこの2件が最初で、今後は増加が予想される。
大阪家裁のケースは、代理人弁護士によると、父母が共に日本国籍。アジアの国で暮らしていたが、母親は4月以降に子を連れて日本に帰国し、西日本で暮らしている。当初は話し合いによる解決を図ったが、双方の主張が食い違い、父親は返還を求めて審判を申し立てることを決めた。家裁は、審判で父母の主張を聞き、帰国について父親が事前に了解していたかや、返還によって子に悪影響が及ぶ恐れがないかなどを見極め、返還を命じるかどうかを判断する。
日本では今年4月にハーグ条約が発効。7月に日本人に初適用され、母親と一緒に英国に渡った子を父親のいる日本に戻す返還命令を英国の裁判所が出した。【古屋敷尚子】