寄稿SeasonⅧ ③
Season 8 「共同親権」考③
高橋孝和さん著の「共同親権が日本を救う」-。「愛する家族と交流できる当たり前の社会を目指して」と本の帯にあります。
「毎年約12万人の親が親権をはく奪され、その多くが子と生き別れになるという、世界に類を見ないガラパゴス社会・日本」
高橋さんは述べる。「世界の大半の国が婚姻外も共同親権であるのは、膨大な生物学・心理学的研究を積み重ねており、その結果「離婚後においても、両親による養育が子どもにとって望ましい」という結論に至っているからです。単独親権論者は、共同親権が「科学を無視した暴論」であるかのように主張しますが、もちろんそのような事実は存在しません」
確かに、共同親権の問題を含む親子の心理の追跡研究は、欧米で古くから進んでいます。子どもの人格発展権を尊重するドイツでは、連邦憲法裁判所が1982年に「離婚後の例外なき単独親権は違憲」と判示しました。子育て改革のための共同親権プロジェクトの基本政策提言書(青本)によると、ドイツは1992年に子どもの権利条約を批准し、6年後の1998年に共同親権制度に移行しました。
米国の研究では、離婚は子どもに心理的不適応を引き起こし、重大なリスクになるという報告があります。一方、離婚後も共同監護で世話をした子どもと、親の離婚を経験しなかった子どもとの間で精神疾患の割合に大きな差異はない、とも報告されています。
この問題について生物学的観点から考察する場合、高橋さんが注目するのは「オキシトシン」というホルモンです。
「オキシトシンはヒトに対して、相手を絶対的に信じ、愛情を注がせる働きを持っています。
母親は、出産時に自然とオキシトシンのシャワーを浴びることとなり、また、授乳期にも分泌されます。これに対して父親は、子育てに積極的に参加すると、同様にオキシトシンの濃度が上昇し、最終的には母親と同じレベルに届くことが分かっています」
ただ、このような科学的知見がなくても、人類は皆、両親による共同養育が一番良いと理解していた、と高橋さんは指摘しています。
【気弱なジャーナリスト・Masa】
更新 2023-03-20 (月) 06:35:03
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