両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和4年12月1日、日本経済新聞

共同親権、与野党担当者に聞く

子どもに最善の利益を/男女格差あわせて考慮

法相の諮問機関である法制審議会が離婚後の親権のあり方の中間試案をまとめた。父母双方に「共同親権」を認める案を併記した。各党の法務分野の政策担当者に聞いた。

子どもに最善の利益を 自民・法務部会長宮崎政久氏

法制審議会が「共同親権」を認める制度案と、片方だけが親権を持つ現行の「単独親権」を維持する案とにまとめたのは評価している。1つに集約できるほど国民の意見は統一されていない。
自民党の中で共同親権導入を訴える意見が多いことは十分理解している。離婚後も父母双方に関係があるとドメスティックバイオレンス(DV)などが続くとして現行のような制度を維持してほしいという声もある。
私は双方の立場に立つ代理人弁護士として複数の案件を担当した。両方の気持ちが分かるからこそ、この件はフラットにやる。
法務部会である議員が「国民の声を真摯に聞くべきで、パブリックコメント(意見公募)の制度があるなら使うべきだ」と言った。その通りだ。
国民の声を聞いた上で最後は1つの案にまとめることはできる。主義主張や世界観、信条は内心の問題でまとめることはできない。あくまで法制上の措置を集約させる。
重要なのは子どもにとり最善の利益をどうすれば一番確保できるかという発想だ。
父母が離婚後も日常的な身の回りの世話、養育費の支払いなど子を養育する責務を持つことに変わりはない。その責務を果たすための制度をどのようにつくったらいいのかを考える。
法制審の案のなかの「具体的な要件を定めず個別ケースごとに単独か共同かを選択可能にする」やり方は実務の判断が難しい側面がある。離婚時は夫婦の関係が悪化しており協議が成立しない場合が多い。

男女格差あわせて考慮 立民・ネクスト法相牧山弘恵氏

法制審議会は国民の関心が非常に高い離婚後の親権の問題について、提示案を1つに絞らず論点整理の段階でパブリックコメントを募ることにした。
早い段階で国民に選択肢を共有するのは、いずれなされる政治決断を国民感情に近いものにすることにつながる。
親権は離婚後の親子関係に大きな影響を与える。子どもの利益を最優先して考えることが大原則だ。その上で選択を子どもの責任にしてはならない。
子どもは両親が離婚したときの年齢や親の再婚相手などによって、父と母のどちらと住みたいかが変わる。どちらとも一緒に暮らしたくない場合もある。
弁護士として米国で勤めていた。共同親権を認める米国の制度は一緒に住む権利と、進路や治療方針など子どもに関する重要事項を決める権利にわかれる。
父親と母親の間を行き来したりお迎えに父親の再婚相手が来たり、さまざまなケースがあった。
日本は諸外国と比べ家事の分担や女性の所得など男女の違いがある。主要な海外で共同親権を認めているから日本でも導入してみればいいという安易な問題ではなく、ジェンダーギャップ指数などをあわせて見て検討した方がいい。
立憲民主党は共同親権へ賛成派、慎重派の双方から意見を聞いてきた。党内でも賛否は割れており、中間試案も踏まえさらに議論を重ねたい。
国政選挙の公約策定のような時間の制限を受けるような環境とは切り離して、丁寧に方向性を出したい。

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